ONIの里

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隠忍伝説(サイドストーリー)

ONIΩ ~希望紡ぐ仔らよ~ 

桃龍斎さん 作

第九話 海を制す

甲板にて悪鬼達を倒していた朱羅丸とリョウダイは、アビスらの乗る船から飛び出して来た久秀を見る。
久秀は一旦海に飛び込むと、その鰭の如き翼で海水を切り裂くように泳ぎ、進路上の悪鬼や小舟を次々と巻き込んで接近していた。
程無くして久遠の甲板に飛び乗って来た久秀、その両肩から伸びる虫達が悪鬼達を喰らい、飲み込んで行く姿はまさに地獄の化け物と呼べるものだった。
「クハハハ……お前等、全部殺して、俺様が、松永 久秀様が全てをおぉっ!!」
「こいつ……一体何なんだ?!」
「恐らく、ジャドが研究していたものを使ったのだろう……松永 久秀は戦国時代において混乱と破滅を望み、信長に対して謀反を繰り返しながらも許され、しかし最期は信長の許しに対して自害で拒んだ……狂人と言っても良い」
「ジジイ、そこから先は分かるわなぁ?そう、ジャドの研究成果である、羅士の種たる遺伝子をありったけ取り込んだ!その結果、俺様はこの力を手に入れたぁっ!!」
久秀の雄叫びと共に豪腕が唸りを上げて振るわれる。
まるで太刀を振るかのような鋭さを持つそれは、朱羅丸が下がってかわしても鎧に鋭い切り傷が入るほど。
「何て威力だ!だが!!」
「うむ。ヤツの狂った精神、そこにこそ付け入る隙がある!」
ゆっくりと前に進んで久遠のあちこちを破壊しようかと甲板を見渡す久秀を前に、朱羅丸とリョウダイは転身して彼に殴りかかる。
2人の拳はどちらも重く、久秀が守りの為に構えた両腕が僅かに軋んで巨体を退かせる程。
久秀も両肩から長い蛇や百足による噛み付きで2人の装甲を切り裂くが、防御を最小限にしていたリョウダイが一部の百足を引きちぎり、蛇の噛み付きを敢えて左肩で受ける。
後は噛まれた部分に力を込める事で蛇を逆に拘束し、迫ってくる他の虫達を右拳の連続突きで打ち砕いていった。
「俺も続くぜ!」
朱羅丸の方は伸びて来た虫達の長い胴体を一つに束ねる格好で左脇に抱え込み、一本背負いをするかのようにそれらを思い切り引きちぎる。
深い方は根本から、一部は中間辺りからその虫達の胴体が寸断されて切り口から紫色の体液が流れる。
流れた体液は甲板の一部を濡らすと、蒸気を立てて消滅していくが、代わりにその部分がまるで熱せられた鉄のように僅かに融けていた。
「損傷は軽微……機体修復機能、作動!」
葉樹も被害の度合いを操縦室で見ており、それに対応する形で修復装置を機能させる。
「船の修復はこちらに任せて、2人は引き続き久秀を!」
改めての指示を受けて、朱羅丸とリョウダイは久秀の拳を受け止め、それぞれが左右の両腕を捻って彼を転倒させる。
だが仰向けに倒れた久秀は次に胴体から無数の触手を伸ばして2人を絡め取り、第二の口たる部分から毒々しい黒紫色の液体を吐き出す。
その液体はONIに対して特効の性質を持つ酸であり、鬼神の装甲がまるで熱湯をかけられた雪のように溶けていく。
「何という恐るべき威力!だが、威力だけの技には負けん!」
大量の毒液を浴びていたリョウダイはそう言いながら闘気を放ち、その熱と刃で触手を切り裂くと、無数の牙が生えた花弁に向けて蹴りを突き刺す。
その蹴りが入った周辺の牙は次々と折れたり砕け散ったのだが、他の側から牙が伸びてリョウダイを刺し貫こうとする。
それを許さなかった朱羅丸はそちらの牙を体当たりで砕き、両手に気を集中させて作った光弾を思い切り久秀の第二の口へ叩き込んだ。
「ぐっ!ふははは!まだだ!俺様の身体からどんどんと力が湧いて来るぞぉ~~~!!」
「「!?」」
第二の口から吐き出たのは毒液だけでない。
凄まじい瘴気も噴き出、それを浴びた朱羅丸は強烈な息苦しさを覚えた。
胸が締め付けられるような激痛、呼吸出来るか否かといった酸欠めいた圧迫感。
しかしそれに屈する事無く、唸り声と共に朱羅丸の闘気が燃え上がり、瘴気を焼き始める。
リョウダイも花弁上の牙を破壊していたのだが、そこへ久秀の肩から伸びた虫達が迫って来たので、再びその虫達を撃破していく。
それらは傷口から新たなものが生えるという性質を持っており、見る見る内に戦闘開始前と変わらないものへと戻っていく。
しばらくして久秀は思い切り身を起こす事で2人を振り落とし、化け物めいた口から先程の瘴気を光線のように吐き出す。
光線は甲板に当たるとそのまま霧散するが、鬼神の身体に触れるとその装甲を溶かし、肉体に火傷と切り傷を負わせるもの。
故に朱羅丸もリョウダイも、巨体で出来る限りの全速力を以てその光線を避け続けて隙を窺う。
「逃げろ逃げろぉっ!!どうせ捕まれば滅びるだけ!そして世界はその分だけ俺様のものとなるんだぁ~~~!!」
「もはや何を言ったとしても、奴は止まらん!朱羅丸、一気に片を付けるぞ!」
「こっちもそのつもりだぜ!」
発狂して光線の撃ち方がデタラメになり、獲物が近づいたら拳を振り回すという久秀の攻撃。
その隙を突いて朱羅丸が彼の顔面目掛けて強烈な拳を叩き込む。
仰け反った久秀も口からすぐさま光線を吐いて朱羅丸の身体を焼こうとするが、リョウダイが第二の口に向けて闘気の熱弾を無数放っていた為に体勢を崩し、光線は上空へと放たれて消えていく。
「!!邪魔するんじゃねえぇぇっ!!」
口を一旦閉じて光線を中断した久秀は目を血走らせて胴体の触手と肩の毒虫達を一斉に伸ばす。
2人に向けて伸びたそれらは槍のような鋭さを持ち、瞬時に鬼神の身体に深く突き刺さると、久秀の振り回しで傷口が抉られる。
それに加えて先端から分泌された毒液が体内を駆け巡って内側から体力、気力を奪い始めた。
「ぐぅ……!」
「ジャドの研究だけではなく、この男の精神が、最大の武器か!」
「ヒャハハハ!あんな頭が良いだけのガキに!勝手に土足で入り込んだ妖怪共に!上に立って良い気になりまくりの尸陰に、この久秀様が利用されてたまるかぁーーー!」
まだ触手も虫も突き刺したままの久秀は再び毒を流し込もうとする。
朱羅丸もリョウダイもそれを阻止するべく触手を引きちぎろうとするが、今度の触手はかなり強度が高まっているのか、なかなか綻びを見せない。
「くそ!転身も何時まで持つか……!」
「この毒で、力が集中されん!」
「まずは2人ぃぃぃっ!!死ねぇっ!!」
長い舌を口から伸ばし、虚空を舐め回す久秀の毒はそのまま朱羅丸とリョウダイの身体に流し込まれ、2人の体力を奪っていく。
そしてそこから甲板に叩きつける事で外からも傷を入れていくのだから、転身を保てるのが不思議とも言える。
どうすればこの拘束から抜け出せるか、そう2人が思案を巡らせるも、精神集中も掻き乱されてしまう始末。
このままで終わるのかと思われたその時だった。
「!?まだ一匹!しかし、人間だとぉっ!?」
気づけば悪鬼達はアビスらの船で大和丸達を迎え撃つ者達だけとなり、攻めの担当となっている者達は全て倒されていた。
それまで砲撃で敵を倒して来た葉樹によって。
その葉樹が甲板に出て、2人の身体に突き刺さった触手を根本から切り裂いていたのだ。
「小娘ぇっ!!何故だぁっ?!」
「私も彼等ONI達と訓練を積んだ身。戦士に恥じぬ強さを身に付けたまでですわ」
「助かったぜ、葉樹!」
「後の憂いはこの久秀のみか!何とか、行けるぞ!」
解放された2人は精神を集中して闘気、霊力をかき集める事により、自身の傷を修復していく。
その間に葉樹は光り輝く細身の剣で久秀が繰り出す毒虫達を切り払っていった。
「ぐっ!?人間でありながら、この俺様と対等に!?」
「伊達に蛭子 月豊こと恵比寿天・タキヤシャの娘ではありませんわ!」
今まで戦っていた2人のような強靭さは無いが、それを補うのが軽い身のこなしと流れるような剣術。
葉樹のその力で、久秀の攻撃は完全に止められていた。
「今です!いえ、そこに……!」
合図を送った矢先に、葉樹は腰に携帯していた光線銃で久秀の顔面と第二の口を撃つ。
「ぎっ!?ぎゃあ!!人間!人間がぁっ!!」
「ONIはONIだけで強くなれるわけではありません……それを支える人間がいるからこそ、今日までお互いに生きていけるのですわ!」
「葉樹……!」
援護射撃を見て朱羅丸は一つの期待感を抱いた。
人間達は守られてばかり、あるいは人外を否定してばかりではない。
こうして自分達と同じ、戦場に立って戦い、自分達と共に戦う者もいる。
そう、自分達ONIと人間達は、分かり合えるのだ。
そして、久秀が狂いの中で怯み、苦し紛れといわんばかりに触手と毒虫を葉樹に向けて伸ばした今が好機。
リョウダイは敵の攻撃を両の剛拳で次々と打ち砕き、朱羅丸が右拳に力を集中させて翔ぶ。
「俺様が、お前等なんぞに敗れる訳がねぇぇっ!!」
葉樹とリョウダイへの攻撃を諦めた久秀は、葉樹の光線が止んだのを見計らって朱羅丸に対して光線を放つ。
光線を腕で防いだ事で動きが一瞬止まった彼の身体を、次は右手で殴り飛ばそうとしたのだが、その久秀の狙いは大きく外れた。
右手を逆に足場として、朱羅丸が更なる跳躍で接近したのだ。
「うおぉぉぉっ!!」
握り締めた右拳が眩い青の光に包まれ、突き出されると同時に雷光となって久秀の顔面に突き刺さった。
「げはぁっ!このままで、このままで終わらせん!!」
攻撃をまともに喰らった久秀は再生しかけの虫達の体液を思い切り周囲にばら撒き、口からも光線を乱れ撃ちにする。
その雨霰の攻撃で3人は火傷を覆い、再生したばかりの触手による殴打で鎧等が砕け、身体に痣が出来ていく。
それらに耐え、猛攻が終わった所で、葉樹は剣を思い切り久秀の眉間に投げつけ、朱羅丸は久秀の胸部、リョウダイは第二の口目掛けて闘気の砲弾を撃つ。
1秒も経たずに3人の同時攻撃は全くのブレも無く命中し、久秀の身体が無数の傷に覆われていった。
「ぐうぅぅっ!ふへへへ!俺様は不死身だぁ~~~!」
大きくよろめいた久秀は全身の傷を、今の言葉の通りとして即座に癒していく。
しかしその再生が終わった途端、彼の体に異変が起きた。
「ぐぶっ!?げえぇぇぇっ!!」
それまで身を覆っていた甲殻がずり落ち始め、筋肉組織が露になっているという、おぞましき現象。
だが、その正体は彼の肉体が力に耐え切れなかった為の事。
一気に再生を行なった為に、ONIの因子が暴走して久秀の肉体を内部から崩壊させようというのだ。
「……勝負ありですわ。大人しく投降なさい!」
「ボロボロの状態なんだ。意地を張る事もないだろ?」
「ジャドの研究における暴走、もう止めにせぬか?」
3人はそう呼び掛けるが、久秀は崩れ始めた肉体を、最後の力を振り絞って起こし、第二の口に何かを放り込む。
その正体は、匂い等を考えれば火薬の類であると想像に難くない。
「俺様は、誰の指示も、命令も受けん!!誰かの手に、何かで死ぬんだったらぁ!!」
言いながら、久秀は口をガチガチ鳴らして火打石の要領で自身の触手の切れ端に火をつけると、今度はその触手を口の中に放り込んだ。
「今度こそは、俺様の時代を降臨させてやる!!」
火が引火して体内から爆発が起きる中、久秀はそう叫んで自身の爆発を早める。
「伏せろ、2人共!」
朱羅丸がそう言って2人を地面に突っ伏させ、久秀の最期を、肉体が崩れ落ちる前に体内から爆発するという最期を目に焼き付ける。
炎と爆発、そして硝煙が目立つ中、此処で久秀は完全に肉片が跡形もなく消えて絶命した。

甲板に近づく敵が完全に居なくなった所で、朱羅丸もリョウダイも転身を解いて体力回復に入っていた。
葉樹も2人より傷は軽いのだが、周辺の動向を見守りつつ、2人の傷の手当を行う。
「狂う存在、か……」
「それも自ら狂うとは、余も経験があっただけに、死なせるには惜しいと思える……」
「……しかし、彼は何度と無く謀反を起こしていました。そして、手段を全く選ばなかった……人間達は、まだ本当の意味での死を考えていないのかもしれませんわね……」
少し気を落としかけた葉樹だが、その肩を朱羅丸が叩いて励ます。
「けれど、何時かきっと行き着くと思うぜ……キチンとした人間達の社会がな。
「……そうですわね」
一人の撃破で、一段落と言える状況。
まだこの戦いにおける先は長いものの、仲間達ならばあるいは、と葉樹は考えるのであった。


アビスと清盛が待ち受ける中、大和丸達5人は敵の船の甲板に到着し、何時でも仕掛ける態勢にあった。
見た目の数では自分達の方が有利、しかし質では互角というのが大和丸達の共通した考えである。
それをお見通しとばかりに、アビスはニヤニヤして右手を高く上げる。
「俺と清盛だけで叩き潰したかったんだが、他にもやりたいヤツが来たんでな。お前達の言ってた三博士ってのは、こいつらだろ?」
「「!」」
アビスの言葉に耳を疑う大和丸達は、彼の合図と共に姿を見せた一つの巨大な影を見て驚きを隠せなかった。
青い鳥の翼、虫の翅、蝙蝠の翼という3対の翼を持ち、下半身は芋虫で両腕は巨大な鬼のもの、そして胸部は筋骨逞しい青白の肉体。
「フフフ、久し振りだね、ONI!」
「まさか蘇っておぬしらを倒す時が来るとは、夢にも思わなかったわい!」
「部下として使われるは不本意だが、そこから先の巻き返しの為にも、貴様らには死んでもらう!」
極めつけはそこから伸びている三つの首で、左手側は金髪を生やした蛇のような顔、右手側は虫の口を思わせる無数の触手と髭を蓄えた禿頭の老人、そして中央は痩せこけた悪魔の顔。
これらこそは、姿かたちは違うが、間違い無く大和丸達が倒したはずの三博士だった。
だが、驚きは束の間であり、すぐに大和丸が気合を入れ直す。
此処で戸惑った所で、奇跡が起きる訳ではないと知っているからだ。
「どいつが相手だろうと、倒すしかない!清盛、お望み通り俺が相手になってやるぜ!!」
「ほう、一番源氏の血の濃い貴様か!この運、勝利までしかと持ち込ませ、首を取ってくれるわ!」
即座に大和丸が清盛に殴りかかり、清盛が薙刀で応戦に入る中、夏芽はアビスを見詰めると、一歩ずつ歩き出す。
「この人は、あたしがやっつけるわ!兄さん、十郎太さん、スクワントさんは三博士を!」
「夏芽一人で、か……良し、頑張って来い!」
妹の覚悟に応えるのも兄の務めとして許可する冬夜。
十郎太とスクワントも同意見として夏芽をそのままアビスの元へ行かせ、自分達は三博士の合体した巨大な化け物の前に立った。
「二度と悪さが出来ないよう、引導を渡してやるぜ!」
「君は、確か僕のフェニックスを殺したんだよね?僕の方も、君を妹の前で無惨に殺してあげるよ!」
三博士の少年アルヴァは冬夜を睨みつけ、冬夜も腕の爪を鋭く伸ばして身構える。
「今度こそはおぬしらの身体の秘密、真に解き明かしてくれる!」
「生憎と、その秘密にお前達の求めるものはない……永遠の闇に戻り、永遠に眠れ!」
好奇心に溢れる老人テスラの言葉に、冷静なる十郎太の言葉が切り返される。
「我らの王国の礎となるが良い!愚か者よ!」
「俺達の国の死に報いる為にも、未来の為にも、今一度貴様を倒す!」
国を滅ぼし野望を抱き続ける男ライヒに、スクワントは奥にある怒りの炎を力に変えて睨み返す。
そして、夏芽はアビスと向き合い、拳を胸の前でギュッと握り締めてから徒手の構えに入った。
「皆は一人で頑張って来た経験がある……だから、あたしも、一人で頑張る勇気を強めなきゃいけない!」
「ほう、サメの群れに自分から飛び込むたぁ、可愛い割りにゃあ大胆だぜ。こりゃますます気に入った!お前程の女はしっかり貰わないと、海賊やってけねえぜ!」
「アビスさん……あたしも、ONIとして苦難を打ち破ってみせるわ!」
「さん付けか。何処までも可愛く健気なONIだぜ。殺すにゃ本当に惜し過ぎるが、これも戦いだ。悪く思うなよ」
互いに小さな笑みを交わし合い、しかしすぐさま真剣な顔を戻す。
「分かってる!じゃあ、アビスさん……行きます!」
かくして、影の新撰組の最大の戦いが本格的に始まった。

「行くぜ、清盛!」
先手必勝として大和丸が光り輝く拳を振るい、闘気を刃と変えて清盛の方へ飛ばす。
清盛も薙刀でその刃を叩き落とし、近づいてきた左拳も返しの一撃で弾き、続けて繰り出された右拳に対しては柄で受け止める。
拳一つを武器とする大和丸は懐へ入り込もうと動き、清盛は薙刀の長所と短所を理解した上で距離をある程度置くべく後退するという均衡。
その均衡をすぐに破ろうと動いたのは清盛であり、薙刀を右手に持って左手を空いた状態にすると、その左手から炎の飛礫を拡散させて放った。
「効くかよ!」
拡散した炎を真正面から受けても全く動じない大和丸はそのまま清盛に殴りかかる。
しかしその横から脇腹狙いで薙刀の横薙ぎが迫って来た為、それを飛び越えて避ける方に意識を傾ける。
「ではこちらはどうだ?!」
狙いをつけていた清盛の左手から靄を思わせる邪気が放たれ、一瞬にして大和丸の身体を包み込む。
その邪気は外側から彼の鎧、そして肉体そのものを蝕み始めた。
「こいつは……!ちぃっ!!」
耳元に響くは亡霊達の呪い、恨みの声。
それを更に強め、長引かせる意味で、清盛は左手で印を組みながら経文の如く何かを早口で呟く。
亡霊は強酸を思わせる侵蝕で鬼神の肉体を焼いていき、気力を少しずつ奪っていく。
だが、これで大和丸が参るかと思うと、そうは行かなかった。
「こうした存在を、二度と出さないように戦っているってのを、教えてやるぜ!」
大きく息を吸い込んだ大和丸はそう意気込むと共に、内側から闘気を燃焼・爆発させて亡霊達の邪気を吹き飛ばし、清盛の身体にもある程度の火傷を負わせる。
「ぐぬっ!流石に源氏の末孫。ならばわしも合わせなければなるまい!」
火傷を即座に癒した清盛は全身に力を入れると、強靭な肉体を形成している筋肉が更に膨れ上がり、上半身の衣服がそれに耐え切れずビリビリと破れていく。
魔人の如き肉体は、鬼神の放った光の拳を真っ向から受け止め、その光すらも押し止める。
その様に、大和丸も攻撃の手を止めざるを得なかった。
迂闊に出れば、しっぺ返しを喰らうのは目に見えている。
此処は十郎太に諭された通り、軽率な行動は慎むべきと、彼は後退して相手の出方を窺った。
「我が肉体に傷をつけようとも、真に滅ぼす事は出来ん!今こそ我が一族の無念を思い知るが良い!」
鎧の如き肉体を見せつける清盛の全身から、先程放ったものと似たような靄型の邪気が放たれる。
まるで猛禽の爪が伸びるかのように飛ばされたその邪気は、回避に移った大和丸を蛇や蜂のように執拗に追い回す。
大和丸もその追尾が止まらないと判断し、邪気を叩き落として再び清盛に接近する。
「流石に守る事にはこだわらぬか。だがそれ故の隙がある!」
余裕を崩さない清盛も大和丸の拳を薙刀で迎え撃ち、左手で直接大和丸の首を掴もうと伸ばす。
「ぐあぁっ……!こんなもんで!!」
首を掴まれ、まだ叩き落としていない邪気を背中に受けた事で大和丸は苦悶するが、すぐに踏ん張って自身の右拳を清盛の左腕にぶつける。
鬼神の渾身の力を込めた一撃は、魔人の左肘を砕きはしなかったものの、首を締め付ける握力の流れを絶ち、拘束そのものも外す事に成功した。
「くそ!源氏め!鬼追う者め!貴様らはどうしてもわしらの邪魔をするか!」
なかなか決定打を出せない清盛は焦れ始め、対する大和丸は息を整えて力の調子を確かめる。
「生まれや育ちは関係ねぇっ!てめえが人々を苦しめたりするのが、見てられねえだけだ!源氏源氏ってジジイが煩く言うんじゃねえ!」
「だが、わしらを打ち破った貴様の先祖達は、その血脈を持つ者達は尽く愚かな事をして来た。欲に溺れ、人を欺き、殺し合いに持ち込ませる……そうした輩に、世を治めさせる訳にはいかん。故にわしは蘇り、今一度我等平家の時代を、平家による統治を願っているのだ!」
耳の痛い部分は確かにある。
自分達も同じ国の人間に、化け物、反逆者として追放された身である。
だが、それを口実とした悪事を、大和丸は許さず、薙刀に対して拳で迎え撃ちながら抗う。
「てめえらだけの世界じゃねえ。それぞれが守りたいものの為に、どんな苦しみがあっても戦っているんだよ!」
拳も薙刀も、互角の強度である為にどちらからともなく悲鳴が上がり、ヒビが入り始める。
それでも2人は止まる事を、否、止める事をしなかった。


合体三博士は大きな翼を羽ばたかせる事で、十郎太達に向けて強烈な吹雪の嵐を吹き荒れさせる。
炎をも凍てつかせるようなその嵐の中、十郎太は左手に氷の刃を手甲の如く纏わせると、それで吹雪の冷気を取り込み、刃を巨大化させて斬りかかる。
対する合体三博士も右手でそれを受け止め、巨大な尻尾を太刀の如く振って3人を薙ぎ払いに出る。
「スクワント!」
「うむ!!」
地上に立っていた冬夜とスクワントは合体三博士の尻尾をしっかりと抱え込むように受け止める。
「甘いよ!」
アルヴァの笑みと共に尻尾が逆に振るわれ、冬夜とスクワントは引っ張られる格好で海の方へ投げ出される。
しかし2人は空中で体勢を立て直すと、一旦離れていた十郎太の作った氷の壁を足場にして甲板に戻り、次に迫って来た敵の右拳を避け、その手首に一撃を食らわせた。
「ふむ、捨て置けんのう」
2体の鬼神の爪を受けた事で出来た傷は小さいものの、テスラは流れ出る黒紫色の血を見てそう呟き、腹の辺りから触手を伸ばして冬夜とスクワントに襲わせる。
触手は先端が鉤針状になっており、掠っただけでも鬼神の装甲に傷を付ける事が出来ている。
十郎太には左手の爪で直接切り掛ろうとして彼女の氷の剣を砕くと、続けてそのまま拳骨を繰り出す。
「っ!!」
強烈な一撃は、辛うじて防御が間に合ったものの、制動を掛けて海に出ないようにするのが精一杯で、腕に痛みが残る程のもの。
「まだまだ我々の力はこんなものではないぞ」
「「!」」
ライヒがそう言った途端、合体三博士の身体から赤黒い邪気が放たれ、それが無数の細長い槍となったかと思うと、3人目掛けて飛ばされる。
甲板に当たると爆発を起こすのだが、その爆風にも強力な邪気が含まれており、飲まれただけで鬼神となった3人は息苦しさを感じていた。
「こいつは、霊気とは正反対……確かに俺達を殺すには打ってつけだな!」
「ふふふ、そういう事さ。最初からこれを作っておけば、僕達の計画は上手く行ってたんだと思っているよ」
「さあて、本気で叩き潰さなければならんな。死んでもらうぞ」
合体三博士の身体から溢れ出ている邪気は更に勢いを増し、無数の弾丸の雨霰となって飛ばされる。
回避が至難なこれらに、冬夜は爪を高速で振るってカマイタチを引き起こす事で突破口を作る。
そこへ、スクワントが狼の如き突進で駆け抜け、合体三博士の、ライヒの顔面に鋭い爪の一撃を叩き込む。
「ぐおっ!?やはり我等の前に立ち塞がるべく現れた存在だな!だが!」
強烈な一撃に顔面から血を流すライヒは更に邪気の弾丸を乱射するが、次に十郎太が氷の盾で弾丸を防ぎながら胴に蹴りを浴びせる。
最後は、弾幕が薄くなった所を突いて冬夜が体当たりを胸元に直撃させた。
「ぐっ!あの時は1対4だったね。そして今だと3対3で此処まで。それでも僕達には勝てないよ」
大きくよろめき掛けた合体三博士だが、アルヴァがそう微笑むと、それまで負っていた傷、受けた打撃の部分が見る見る内に消えていき、体力も戻っていく。
「フェニックスの力も組み込んだんだ。今度は誰も助けが来ない。それとも、誰か一人犠牲になるかい?」
「否、皆殺しに出来るぞ。この手応えを考えれば当然!」
「尸陰とジャドとやらには感謝じゃな。此処まで力を高めてくれた上でわしらを復活させたからのう」
完全に傷を癒しきった合体三博士は勝利を確信して高らかに笑うが、十郎太達は動じず、それはどうかなと言わんばかりに返す。
「今度は命を捨てずに倒す。その方が、この戦いで一番良い出来になるからな!」
「今の手応えで私達の実力を測ったというのなら、足りないと言わせてもらうぞ、三博士」
「そして今こそ示そう。俺達の結束は、お前達のそんな結束とは違うという事を!」
敵が如何なる能力を持とうとも、その場で苦境を乗り切る。
その想いと共に、十郎太達は再び攻撃を開始した。

そうした戦いをチラリと見ながら、夏芽は船の帆柱の上でアビスと戦っていた。
徒手で剣を受け流し、燃え盛る手刀でアビスに斬り掛かるという接近戦。
アビスも既に本気を出しており、三日月刀だけでなく、腰に提げていた拳銃を用いていたのだが、夏芽はその銃を蹴りや手刀、そして鳳凰を模した純白の翼で打って銃口の向きを逸らす。
華奢な身体に不似合いかと思われる翼は、時には刃となってアビスの首や腕等を切り裂こうとしていた為、未だ戦況に大きな変化は見られない。
「へへ、やるもんだな!っとぉっ!?」
お喋りの暇も与えない夏芽の鋭い攻撃。
見様見真似ながらも、彼女は人差し指をアビスに向けて突き出し、そこから放たれる火炎弾を銃弾の代わりとして撃っていたのだ。
その打ち合いにして撃ち合いたる接戦で、両者は未だ無傷。
アビスが距離を取るべく放った蹴りに、夏芽も蹴りで返して後退したところで、どちらも読み合いながら自身の態勢立て直しに入った。
「(大丈夫。まだ、力は落ちてない!)」
精神を集中させる夏芽は、小さく浮遊して翼から周囲に散らばっている霊気を集めて霊力を回復させていく。
一方でアビスは三日月刀を仕舞い、もう一挺の拳銃を構える。
「剣は銃より強しって知ってるかい?軍人将棋をやっているヤツなら分かると思うが……やっぱ、二挺拳銃の方が、こういう場では似合うねぇ」
先に仕掛けたのはアビスで、霊力の回復が終わったばかりの夏芽はあっという間に懐を取られる。
と思いきや、彼女も一歩踏み出しながらアビスの両手を左右外側に弾き、膝蹴りを鳩尾狙いで突き出す。
それを宙返りで回避しながら、アビスは銃撃を行い、その銃弾を夏芽が火炎弾で撃ち落としていく。
帆柱の左右に伸びる鉄柱は強靭で、2人がどんなに衝撃を与えても折れず、只々2人の戦いを見守るのみ。
時には離れ、時には近づく2人はそれぞれの場において射撃、格闘及び至近距離の射撃で相手を攻撃するが、激しい攻撃においてどちらも攻撃が当たるどころか、掠る気配も無い。
そんな中で、夏芽は心がどういうわけか落ち着き始めていた。
「(この人の目、邪悪って感じがしない。可哀想って訳でもない。何だか、普通に楽しんでいる気がする……)」
十二邪王は世を脅かす悪しき存在、それが第一印象だったのだが、アビスと出会った時は、そうは思わなかった。
敵だが悪ではない、そうした考えが膨れ上がっており、しかしそれが夏芽から力を奪う事はない。
その様子は、アビスも分かっていた。
「(鬼神って言うが、こいつの目は、ぶっ殺すぞって目じゃねえ。かといって、もうやめてって目じゃねえ。ただ一つ、腕ずくで懲らしめるって感じの目だな)」
鬼神、ONIは悪しき妖怪を討つ、聖なる妖怪と呼ばれていた。
もし彼等が悪という理由だけで妖怪達を討つとすれば、恐らくそれは危険な存在として捉えても良いだろう。
だが、夏芽はそうした鬼神ではない。
そう考えながら、アビスは狙いを定めて撃つ速さを高めていった。
もはや剣戟としか思えない、動的な拮抗。
その拮抗は、夏芽の翼に銃弾が命中した事で崩れた。
「っ!!」
翼を撃たれて少しよろめきかけた夏芽だが、そのまま足場を蹴って頭突きを放ち、アビスを突き飛ばす。
その結果、2人はそのまま帆柱から出、海の方へ落下を始める。
これで終わらせる気はどちらにも無かったのか、夏芽もアビスもそのまま攻撃・防御・回避を並行しての攻防を展開する。
だが、アビスの方が笑みを浮かべており、上下が後退した所で夏芽の上を取って海の中へと2人揃って潜る。
戦闘の最中、それを見ていた大和丸達は夏芽が僅かに劣勢かと見ており、清盛とライヒがニヤリと笑う。
「見たところ、あの小娘は空に強く、海に弱い。そしてアビスは海の魔人、どちらが勝つかはこれでハッキリした!」
「アビスが戻って来た時の為に、此処はお前達をズタズタにしながらも、生かしてやろう。同時に絶望させて殺す為にな!」
「ちっ……!」
夏芽を助けに行こうとすれば、清盛も合体三博士も相応の手段に出ると知り、舌打ちする大和丸。
十郎太とスクワントも唸りながら止む無く合体三博士への攻撃を続けていたが、有効打を出せないでいたのか、合体三博士の傷は攻撃しても瞬く間に回復してしまう。
「僕達に勝てる訳、ないだろ?そのまま死んじゃいなよ!」
アルヴァがクスクス笑うが、その笑いを消し飛ばすものがいた。
一人黙々と戦っていた冬夜である。
「む?妹の危機に、助けに行かぬのか?好きな肉親じゃろ?」
テスラも気になると同時に、挑発も兼ねてそう問い掛けるのだが、冬夜の表情は全く変化しない。
そして、心が乱れた気配も全く無かった。
「……一人で頑張って、勝つと決めたのは夏芽だ。まだまだあの子は頑張れる。いや、何処までも頑張れるさ。もう俺を超えちまってるからな」
攻撃の手は緩むどころか、激しさを増しており、僅かながら合体三博士の再生速度が遅れ始める。
「だからな、お前達も信じろ!夏芽が勝って、此処に元気な姿で戻って来るのをな!」
「お、おう!」
「確かに、冬夜の言う通りだな。私達は馴れ合うだけではない!」
「見せる時か……信じる力を!」
冬夜の檄で意気を取り戻した大和丸達。
それを見て清盛も合体三博士も不快感を抱いていた。


海の中に入った夏芽は、何とか動けてはいたのだが、アビスが地上で戦った時よりも速さを増しており、その状態の彼の攻撃を喰らい始めていた。
「悪いな。普段の銃は水に弱いが、こいつは耐水性!鉄も貫けるぜ!」
銃弾はまるで獰猛な魚の如く真っ直ぐ飛んで夏芽の翼を撃ち続ける。
機動力を完全に奪われた夏芽は泳いでアビスに近づこうとするが、水の中という事もあってなかなか速く動けない。
「うぅ……このくらい……!」
翼が蜂の巣になった夏芽に、アビスは終始銃撃を行い、夏芽も光弾を何とか形成してアビスに向けて放つ。
しかしそれらはアビスの銃弾よりも遅く、簡単に避けられてしまうだけ。
「無理せず海を出りゃ良かったのによ……何で好き好んでこんな所で戦い続けるのかなあ」
少し残念そうな表情でアビスは夏芽から距離を取りつつ発砲を続け、翼だけでなく手足にも弾を命中させる。
このまま行けば、彼女を倒す事は出来る。
その証拠として消耗が激しくなっていたのだろう、青白い血に染まりかけた彼女の身体を覆っていた朱色の甲冑が消え失せ、黒の衣も薄くなっているのが良く見えていた。
「……これ以上長引かせる訳にもいかない。綺麗サッパリ死んでもらうぜぇっ!」
それでも、やはり自分は嬲り殺す気にはなれないとして、自分から近づいて夏芽の眉間と鳩尾に銃口を突きつける。
その時、彼女の虚ろになりかけた瞳が輝きを取り戻し、接近してきたアビスの顔面に一撃を入れた。
「!?い、痛ぇ……」
消えかけていた鬼神の甲冑が復元され、翼も白く輝きながら損傷が無くなっていく。
手足の傷も塞がっており、力が戻って来ているのは全身の輝きからも明らかだ。
アビスは激痛と共に、その光景に対する衝撃を感じていた。
「あたしも、才神家の一人だから。海の中でも炎の中でも、絶対に負けない!」
冬夜はかつて、自分を守るべく、命と引き換えに難敵を倒した。
親も兄達も、自分達の全力で自分を守って来た。
だから、今度は自分の番であり、苦境を自力で離脱してみせる。
そうした気迫が激しさを増して、彼女の両手に炎が作り上げられる。
海の水でも消せない、海底火山の噴火とも呼べるその炎を夏芽は拳に宿し、力一杯、しかし素早く拳を振るう。
「……最高だぜ、夏芽!!」
傾きが無くなった状況にアビスも嬉しく思ったか、負けじと銃撃と格闘の乱舞で応える。
結果として双方は再び互角の戦いに転じていた。
ただ、アビスは内心こう思い始めてもいた。
「(本当に凄くなってるな。あれだけ力爆発させても、所謂時間切れになる気がしねぇ……息切れも無くなってやがるし。こりゃ、やべぇな……)」
一方で、夏芽は自分でも不思議に思えるくらいに、身体の奥底から力が漲って来るのを感じていた。
「(これが、あたしの力、なの……?全然、疲れないし、さっきのダルさが嘘みたい……だから、無駄にはしない!)」
力の高まりから、彼女は勇気も爆発させて一つの変化を起こす。
それは、アビスの銃撃を自分から喰らいに入るというものだった。
「!何ぃっ!?」
それまで弾かれて軌道をずらされていた自分の銃撃が、突如夏芽の左肩に命中した事に、アビスは驚くあまり手を止めてしまう。
そこが夏芽の狙いだった。
「はあぁぁぁっ!!」
燃え盛る炎を纏った両腕から炎の嵐が巻き起こり、アビスの身体を飲み込んで上へと巻き上げる。
アビスはそのまま海上に飛び出し、それを追う形で飛翔した夏芽が羽ばたきと共に水飛沫を吹き飛ばすと、水上を滑るように両者は戦いを展開する。
「そこまで来るんだったら、こいつを凌いでみせな!」
足から生えている鰭が物凄い速さで動いて水を掻き、それで水上を動くアビスは、今度は銃と剣を交互に、器用にも手玉のように得物を変えながら夏芽を迎え撃つ。
「やってみせる!」
夏芽も両腕だけでなく翼から炎を燃え上がらせ、銃弾を融かし、剣を弾きながらアビスとの距離を詰めていった。

「何と!鬼神は水中でも戦えるのか!?しかも炎の鬼神が、水に屈せぬだと!?」
夏芽とアビスの戦い、その戦況の変化で清盛が激しい動揺に襲われた隙に、大和丸が逃さず拳の連撃を叩き込む。
「戦いで余所見は禁物だぜ?歳を取りすぎてそういうのも忘れたのか?」
「ぐっ……その魂の輝きは、何故だ!?」
均衡が崩れて攻撃を喰らい始めた清盛の問いに、大和丸はしっかりと答える。
「信じる事と、認める事だ!仲間の勝利を、未来の希望を信じて、自分達の背負ったものが何かを、弱さを認める……それが出来ないのが、てめえの敗因だ!」
輝く拳を握り締めて、大和丸は一瞬だけ過去を振り返る。
一瞬とは言っても、それは少し長いように感じられたものだ。
十郎太との出会い、夏芽、冬夜、スクワントとの出会い、冬夜の死。
人間達の冷たい態度、新撰組の熱い支援、響華丸の内なる怒り。
そうしたものを振り返った上でこの答えに行きついたのである。
「おのれ!まだわしが負けたと決まっておらんわ!」
清盛も攻撃を受ける中で邪気を蔦状にして大和丸の全身に絡みつかせ、一部の先端で彼の手足を刺し貫く。
が、その先端の刺さりが深くなっても、絞め上げが強くなって鬼神の鎧がヒビに覆われても、大和丸は力を緩めたりせず、拘束を破りに入る。
清盛が注ぎ込む邪気を、大和丸の全身から電撃となって放たれる闘気が逆に絡め取って少しずつ打ち破っているのだ。
「夏芽の頑張りに、俺達が応えないでどうするってんだよ!」
雄叫びで一気に闘気が爆発し、清盛の邪気の蔦が吹き飛ばされ、続けて鬼神の連続の拳が清盛の身体に打ち込まれていく。
清盛も血を吐き散らしながら薙刀を振り回して刃の嵐を作り上げ、その嵐で大和丸の全身を切り刻む。
だが大和丸は敢えて嵐の中に飛び込んで来ており、全身が青白の血に染まったままで両手に光の球を作り上げ、それを直接清盛に叩き込んだ。
「げはあぁっ!!」
鳩尾に突き刺さった球は、その衝撃を心臓に届かせて清盛の全身を焼き始める。
「わしが、やられるなどと!!」
これでもまだ倒れず、まだ奥の手があるのは間違い無い。
大和丸はそう睨んで攻撃を中断すると、彼の読み通り清盛はその身を人間の姿から、4本の蟷螂の腕を持つ巨大な化け物の姿へと変える。
その鎌は金属を紙のように切り裂き、空気をも両断する威力で大和丸に襲い掛かり、掠っただけでも深い切り傷を刻む。
「てめえのその執念深さ、一族の為ってのは分からないでもないが、怨みを抱いてばっかりいると、一部の奴等が悲しむって事を教えてやるぜ!」
気合と共に傷をある程度塞いだ大和丸は清盛の鎌を掻い潜って本体の胴、顔面を交互に殴る。
それだけでは清盛の巨体が小さくよろめくだけであり、唸り声と共に胸元から触手を伸ばして大和丸をグルグル巻きにすr。
しかしそれも一瞬の事で、大和丸は簡単にその触手を引きちぎると、触手を伸ばす際に開いた胸元目掛けて突き刺し、そのまま光の力を注ぎ込んだ。
「う、うげげぇぇっ!?ま、待て!わしは、わしはこのような最期を繰り返してはならん!このような最期は何としても!!」
「遅ぇよ。それに、繰り返したくなかったら、もっと真っ当な方法で戦うべきだったんだ。観念しな!」
命乞いが策であるか否かを問う事無く、大和丸は攻撃を続け、清盛の肉体を焼くと共に光で浄化を始める。
「平家が、滅びる!滅びてしまうぅぅぅ!!わしが築き上げた最大の一族があぁぁっ!!」
胸元を起点に亀裂が広がり、光と変わっていく身体を見て、消滅を抑えようと邪気を放った清盛だが、その邪気も簡単に掻き消され、清盛自身の頭部も消滅していく。
それが完全に終わったのを見て、大和丸は静かにこう言った。
「一族が滅びる?違うな、人々の心、記憶に残るんだよ。良い事も悪い事も、全部な……」


戦況が優勢から劣勢へと変わり始めた事に、三博士達は焦りを見せていた。
先程の夏芽とアビスの戦況変化もそうだったが、彼等が戸惑っていたのは別のことだったのだ。
「ど、どういう事だよ!?ジャドが生み出したあの対ONIウィルスは展開しているんだろ!?」
「さっきからやっておるわい!既にこの一帯を包んでおるんじゃ!効かぬはずがない!」
「だとすれば……いや、有り得ん!抗体が出来るようなものではないのだぞ?」
確かに、十郎太達は傷だらけで息切れもしており、一方で合体三博士は再生能力で傷が塞がっており、生命力も落ちていない。
だが、十郎太達3人の攻撃は鈍るどころか斬れ味を増すばかりだ。
「毒、か。確かに身体は若干重い。だが、それでもまだまだ力は湧いて来る!」
十郎太の鮮やかな動きから放たれる冷気はライヒの吐き出す炎を受け止め、下半身の芋虫部分を甲板に凍てつかせる事で縫い止め始める。
それで機動力を封じた所を、彼女は右肩の蒼竜の顎を開き、そこから今までの中で最も強烈な冷気を放つ。
「!そんなものを!!」
アルヴァは睨みと共に自身の身体を炎に纏わせ、一部を飛ばしてその冷気を破ろうとする。
だが、その炎は逆に消し飛ばされ、あっという間に合体三博士の身体を凍てつかせ始めた。
「う、嘘!?今のは……」
「瞬間温度が、零下273度に達したじゃと!?絶対零度の領域になったというのか!?」
「ONIの力が、そこまで高まったというのか!?だがこれしき!」
ライヒは負けじと内側から氷を粉砕し、十郎太を両手の爪で切り裂いていく。
その勢いで海に投げ出された十郎太だが、受け身を取りつつ落下地点を凍らせて足場に変えて着地する。
そうした対応は最早見届けるまでもなし、とスクワントは既に追撃に入っていた。
「一族、タミアラ、そして貴様らに弄ばれながらもタミアラを愛したリッシュの分、返すぞ!」
天狼が駆け抜けるが如き乱舞は下から上、上から下へと合体三博士の身体に無数の傷を刻み、傷口から血と共に噴き出す毒を浴びながらも攻撃が続く。
途中でテスラが下半身を伸ばしてスクワントの身体を縛り、そのまま全身を砕こうとするのだが、スクワントはまるで鰻のようにするりとその長い尻尾を抜け出し、爪と蹴りで3人の顔面を打つ。
「がああぁぁっ!!さ、再生が追いつかない!そればかりか、段々と腐食が始まっている!」
「何だと?!ONIの力が、対ONIウィルスを内包した霊魔獣の肉体をも蝕んでいるというのか!?」
「そうとしか思えん……!出力も上がらん!」
よろめきが大きく、傷の治りも大幅に遅れ始めた合体三博士。
しかしまだ手詰まりになった訳ではないとして、彼等は両手から強烈な熱線を放つ。
それはONIを撃つ毒も含んだ破壊熱線で、十郎太達3人を飲み込むと、その鬼神の身体を内外から焼き始める。
耐える3人のONIの鎧は少しずつ融け始め、肉体も火傷で青黒くなっていくのだが、その視線は鋭いままだ。
「何度同じ毒を受けたと思っているんだ?これしきの事で屈する私達ではない!」
「タミアラ達が受けた痛み、リッシュが受けた屈辱と比べれば、こんなもの!」
「今日、この日の為の特訓は、昨日一昨日から始まったものじゃあないぜ!」
視線の鋭さを保ち、闘気を解放した3人は身体からその闘気を光線と変えて放ち、合体三博士の熱線を押し返す。
「何じゃと!?奴等の身体の何処にあの力が!?」
押し返され、光線を浴びた合体三博士の身体が一部焼け爛れ始め、崩壊していく。
「アルヴァ、この上は奴等のエネルギーを奪ってしまえ!」
「そうだね。こういう時のための取って置き!」
焼け爛れた部分が崩れ落ちると、新たに出来た傷口から無数の触手が伸びて十郎太達に巻き付くと、瞬時にその力を奪い取り始める。
が、3人は戸惑うどころか、不敵に笑うだけだ。
「欲しければ、与えるまでだ」
「受け取れ!俺達ONIの力を!」
「ただし、好き嫌い無く残さず、な!」
逆に自分達の方から力を注ぎ込む十郎太達だが、転身が解ける気配は無く、疲労もさほど溜まる様子は無い。
それこそが3人の策だった。
「!?奴等の方からエネルギーを……?まさか……これはいかん!」
最初にその危険性に気づいたテスラの声に、アルヴァも吸収を止めようとするが、ONIの力はまるで刃が突き刺さるかのように押し込まれていく。
そしてある程度合体三博士の身体に注ぎ込まれたかと思うと、放電と共にあちこちから爆発が起きた。
「ば、馬鹿な!エネルギーに底が無いというのか!?」
「教えてやろう。俺達の力は、心が源だ!機械だの野望だので吸い取られて終わる程、脆くはないぜ!」
仕上げを待っていたらしく、先に触手を切り裂いた冬夜は腕から伸びる爪に光を纏わせ、屈伸状態から一気に飛翔して合体三博士の懐に飛び込む。
そこから重さと鋭さを併せ持った爪と拳を打ち込み、敵の強固な肉体を砕き始める。
「そんな!僕達が折角こうして甦ったっていうのに!」
「ONIの身体を、解明していればこんな事には……!!」
「始まる事すら許されぬというのか!?我が王国が!!」
冬夜の猛攻で再生能力が完全に役に立たなくなった合体三博士。
そこへ、十郎太がアルヴァの方へ、スクワントがテスラの方へそれぞれ鬼神の拳を叩き込む。
「二度とこの世に戻って来るな!世界を滅ぼそうとした悪しき賢人達よ!」
「ONIの謎を解いた所で、俺達を滅ぼす事は出来ない!」
「「ぎゃあぁぁっ!!」」
「おお、アルヴァ、テスラ!」
強烈な拳でアルヴァとテスラの顔面が砕け、光の粒子となってその頭部が完全に消えていく。
その様に狼狽したライヒは、目の前に姿を見せた冬夜の拳に成すすべも無い。
「人を苦しめて出来上がった王国なんぞ、誰が支えるものか!行くぞ!これが俺達日本の分!」
深々と突き刺さった一撃目は胸元を撃ち抜き、次はライヒの首の付け根、首、顔面、脳天と続く。
「大和丸、十郎太、スクワントとスクワントの一族、タミアラの分!そして、最後は当然……!」
爪を納めた両拳から光が迸り、その光を右拳に集約させた止めの一撃は、落下で高度が落ちた為に、必然的に合体三博士の心臓があるだろう位置に突き刺さった。
「夏芽の分だぁーーー!!」
「き、貴様は何よりも妹を思うのか!?それがお前の正義だというのか!?ぬわあぁぁ!!」
大きく吹き飛ばされた合体三博士は、ライヒの断末魔と共に爆発し、跡形もなく消し飛んだ。


大和丸達が清盛達を追い詰めていた頃、夏芽はそれまでアビスと互角に渡り合っていたのだが、此処に来て流石に限界が来たのか、攻撃の手が止まって息切れが激しくなっていた。
アビスもそれは同じなのだが、夏芽の身体には幾らか切り傷や銃撃による傷が残っており、そこから青白い血だけでなく霊気が流れ出ている。
身体を浮かしている翼も、高度を保つのがやっとと行ったところだ。
「つ、強えな、おい……お前、今4人分の力出してるぞ……」
「そ、そう?だからかな。無茶しちゃっているような……」
少し息が落ち着き、力も少しずつ戻って来るのを感じていた夏芽。
攻防の中、ONI用の毒を打ち込まれた事もあったが、それに耐えているのもあって戦意は増すばかり。
後は、身体がしっかりとついてくれれば、という事である。
「……乗りな。次で決めるぜ」
アビスがそう言うと、何時の間にか無人の小舟が夏芽の足元に近づいており、アビス自身も別な小舟に乗る。
「ありがと」
罠は無しと確認して夏芽は小舟に着陸し、ようやっと翼を休ませる事が出来た事で小さく息を漏らす。
「そろそろ向こう側も決着がつきそうだな。デカい音が合図だ」
「うん……」
どんな時に、どのような音が出るのか、どちらにも分からない。
だからこそ、自分が睨んだ勝機を見計らっての、最後の一撃に全てを賭ける事が出来る。
そうした勝負の提案に、夏芽は応じて自然体となり、アビスも剣と銃を治めて仁王立ちになる。
数分のように長く感じられる数十秒。
その数十秒後に、アビスの船の方から光と共に大きな音が響き、それを合図としてどちらからともなく右手を煌めかせた。
夏芽の突き出した右手からは炎の矢、アビスが右手に握ったのは拳銃。
「「!!」」
ほんの一瞬でついた勝負、それを制したのは……
「……マジ強ぇよ、夏芽」
片膝を突き、胸元を中心に大火傷となり、血を吐いたアビスではなく、攻撃の構えを解かずに転身が解除された夏芽だった。
その凛然とした表情は全く変化しておらず、アビスがこれ以上戦えない状態だというのをしっかり確かめてようやっと構えが解かれ、表情も緩んだ。
数分後、夏芽はアビスを光の鎖で縛って彼の船へと戻ると、他の方面の戦いも終わっていた為、久遠が接舷して葉樹達が大和丸達と合流していた。
清盛と合体三博士も、久秀も消滅しており、残っているのはアビスとその直属の配下のみで、彼等もアビス同様十郎太の氷の枷で拘束されている。
戦闘終了という事で転身は解かれていた。
「この期に及んで命乞いはしねえさ。やれよ」
自分の船の甲板にて、拘束を一時的に解かれたアビスは胡座を掻いて座り込む。
何時なと斬れ、というのを暗示しており、ならばという事で葉樹と大和丸が歩き出すが、その行く手を夏芽が阻んだ。
「あたしに任せて」
アビスと直接戦って何かあったのだろう、ならば任せても良い。
大和丸達がそう見て彼女の言葉に従い、葉樹も無言ながら頷いて下がる。
夏芽はその様子を見てから、アビスの方に振り向いてこう言った。
「もう、十二邪王と手を切るんだったら、今回の事は許してあげる。だから、もうこんな事はおしまいにしたら?」
「!?」
驚いたのはアビスとその部下だけ。
大和丸達からすれば、予想していた通りであった為、戸惑う事も無かった。
朱羅丸はトドメを刺せと言った敵にトドメを刺さず、リョウダイは死を受け入れようとしながらそれを江に咎められている。
葉樹もそうした情を響華丸との戦いを通じて理解していた。
大和丸達に至っては、仲間であり、心優しさが売りである夏芽を信じていたのである。
「……何処で気づいた?俺が、根っから尸陰についてくつもりがねぇっていうのは」
「さっき戦った時。海賊さんにしては、そんなに人殺しとかしている訳じゃないし、むしろ宝探しが主みたいな、そんな感じだったの。楽しいから人を殺すんじゃなく、自由に生きる上で邪魔過ぎたら殺して、それ以外は無闇に殺さない、そんな決まりを自分の中で作ってた。違う?」
「!」
まるで、自分が銃弾を胸に喰らったかのような衝撃をアビスは受けていた。
まさかそこまで読み取るとは思わなかったのだ。
「これ以上戦って、無駄に失うっていうのが嫌だっていうのはお互い様のはずよ。それに、あなただったら分かっていると思うの。強さは心の中にあるっていう事を。自由に生きる事そのものを、それでいて活き活きとした人生を、他人を無闇に殺さない、そうした生き方にこそ、明日を感じている。もし違うんだったら、違うって言って良いわ」
「……ドンピシャだぜ。ったく」
一つ言わなければならない事がその一言だった。
アビスは心の中から殺意も戦意も失せており、しかし満足げに笑っていた。
「夏芽、お前最っ高に楽しいぜ……ご丁寧に俺の心を持って行きやがった……惚れちまったもん負けってヤツさ」
「でも、あたしの一番の人は十郎太さんよ」
「二番目でも悪かねぇよ。しっかし、此処まで優しくされちゃあ、無碍(むげ)に出来ねぇなあ……」
胡座から立ち上がったアビスは夏芽に背を向けると、一時的に解放されながらも待機していた部下にこう言った。
「小舟を全部回収!ダゴン号はこれから元の世界に帰還するぜ!十二邪王の尸陰との契約は終わりだ!」
「!マジっすか!?」
「都督、本当にそれで良いんすね!?」
「ああ。大マジだ!さっさと出航準備に移れ!」
「へい、都督!!」
部下達が指示に従って動くと、再びアビスは夏芽の方を向く。
「夏芽!俺は奪われっ放しってのは性に合わないんでな、何時かきっと、お前に奪われた俺の心を取り返しに来る!でもって、今度は俺がお前の心を奪ってやらぁ!」
「言ったか。だが夏芽を嫁にするのなら、大和丸達を超える腕前を身に付けてからだ!そして、その次は夏芽に参ったと言わせる程の実力だ!それらをキッチリ満たせないようじゃあ、夏芽を嫁にはやらん!兄の権限にかけてな!」
腕組みと共に大胆に、豪快にそう言って退ける兄の冬夜に、夏芽もクスクスと笑う。
「あたしも、あなたに対して絶対に降参なんてしないからね!悪さをしようものなら、何度だってやっつけてやるわ!」
「へへ、兄妹そろって言うぜ。そう胸を張ってられるのも今の内だと思いな。あばよ!!」
出発の準備が終わった所で、大和丸達はそのまま久遠の甲板へ戻り、アビスの船を切り離す。
アビス達はそこからゆっくりと外の異空間へと船を進めていき、開かれた黒紫色の穴を潜ってそのまま消えていった。

「……さて、あなた方、監査局に入るという手がありますわ。彼等も時空を超える力を持っている訳ですから、彼等の監視も兼ねてという事で……」
葉樹がそう提案すると、大和丸も少し考える素振りを数秒ほど見せてから答える。
「考えとく。俺達の国には居られないが、だからといって見て見ぬ振りは出来ない。けど、旅をしながらってのも悪くないからな」
「それで良いと思うぞ、大和丸」
「ああ。俺も世界を見てみたい。数多くの世界を……」
「アビスの事もあるから、あたしは入っても良いと思うわ。もちろん、皆にも入って欲しいけれど」
「優しいだけじゃなく、勇敢になったな、夏芽。兄さんも負けてられないぜ!」
5人の意見を受け、葉樹は戦いの終わりに最終的な返答を、として話を切り上げる。
「さあ、響華丸達の元へ向いましょう!」
「「おう!!」」「「はい!」」
久遠は再び前進し、神殿のある島へと向かう。
その中で、夏芽は胸が僅かに熱くなった事で溜息を吐いていた。
己が始めた事とは言え、自分の周りがまたややこしい事になった事への、やれやれ、といった気持ちで。



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あとがき

量の余りに、メインが幕末勢に……(汗)
久秀は色々考えた末、『自ら狂う事を選び、末路も史実通り』という形にし、そこから色々と考えさせる為のものとしました。
三博士も復活させたのですが、アビスのインパクトで再生怪人扱いになってしまってしまいました。
そのアビスとも、夏芽はフラグを立ててしまった訳ですが、こういうのも良いかなと思いまして。

次回で最終決戦の前まで持って行きたいところですが、残りも残りで書きたい内容がてんこ盛りですよorz
まあ、愚痴を言っても仕方がありません。
次回もよろしくです。

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