ONIの里

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隠忍伝説(サイドストーリー)

秘女乃のくちづけ大作戦

温羅さん 作

「隠忍伝説」より
天輪聖王を倒してから約一年後の秘女乃のお話……………………

ただそれだけです。
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高野丸の手が、私の頬に触れる。
「…………まだちょっと、熱っぽいね。
お粥作ってきたけど、食べられる?」
「ふにゅぅ…………」
私は首を縦に振り、起きあがった。
はぁ……………………
折角、高野丸が来てくれたのになんで風邪ひいちゃったんだろ?
ホントなら、今頃二人だけの世界で愛を語り合うはずだったのに・・・・・
「はい、あ~んして。」
…………でも、これはこれでいいかな?
「あ、あ~ん……………………」
ぱくっ
「美味しい?」
「うん♪」
「そう。」
高野丸が微笑む。
この笑顔が、いいのよねぇ……………………
あぁ……至福の瞬間♪

「きれいに食べちゃったね。
これなら、すぐ良くなるよ。」
「うん……は、はっくしょん!!…………う~い、ちくしょう…………」
「……それ、なんとかならない?」
はっ!?
し、しまったぁっ!!
よりにもよって、高野丸の目の前で、なんてことをっ!!
ひ~ん、私の可愛らしさが台無し~!!
「……食器片付けてくるから、薬ちゃんと飲んどくんだよ?」
トタトタトタトタ………………
ああっ!!
絶対、なんか変な女だと思われたぁっ!!
どうしよう~っ!!
……でも、考えてみたらそんなに気にしなくても大丈夫かな?
だって、高野丸ってそういうとこニブイもんね。
散々私が言い寄ってるのに、くちづけはおろか、手すら握ってくれないもん。
…………それはそれで、ムカツクわね。

う~ん……………………

よしっ、決めたっ!!
この機会を利用して、高野丸にくちづけしてもらっちゃお♪
名付けて、”秘女乃のくちづけ大作戦”!!

と、いうわけで、作戦決行!!
まずは基本の”あまえんぼ攻撃”!!
「ねぇ~……高野丸ぅ~………」
「……何?」
「えへへ~………すりすり~…………♪」
ふっ、どう!?
さしもの高野丸も、これにはクラッと…………
「……熱がひどくなったのかな?大丈夫?」
「えっ?う、うん………………」
……………ま、真顔で心配しないでよっ!!
これじゃ私が頭おかしいみたいじゃないっ!!
うにゅぅ……さすがに一筋縄ではいかないわね……
……だったら次は、”持病のしゃくがっ!攻撃”よっ!!
「うぅっ……」
「どうしたの?」
「じ…………持病のしゃくがっ…………」
「……………秘女乃……………君、持病なんて持ってたっけ?」
うっ!!
「きゅ、急に苦しくなったのっ!!」
「…………ホントに?」
くっ…………こういうとこだけ鋭いんだから…………
こうなったらもう、押し通してやるっ!!
「ほ、ホントに苦しいの…………」
「じゃあ、お医者さん呼ぼうか?」
はうっ!!
そうきたかっ!!
うぅ…………なんかホントに心配そうにしてるぅ…………
ど、どうしよう~っ!!
「え、えっとね…………もう大丈夫みたい…………」
「駄目だよ、無理しちゃ。こういう時はちゃんと診てもらわないと…………」
そう言うと、高野丸は立ちあがった。

 

ま、まさかっ!?
ホントにお医者さん呼びに行く気!?
「ほ、ホントに平気だからっ!!
あ、なんかもうすっごい元気になったみたいっ!!」
「……………………ホントに?」
「う、うんっ!!」
「………………なら、いいんだけど………………」
座り直すと私の顔を心配そうに覗き込む。
あ、危なかった……………………
医者なんて呼んで、「大した事ない」なんて言われたら、
高野丸ってば絶対帰っちゃうもんね………………
それにしても……全然恋人同士に見えないなぁ、私達って。
なんかこれじゃ、漫才やってるみたい…………………
はぁ………………………………………………………………
やっぱり、病気のときはおとなしく寝てたほうがいいのかな?
そっちの方が、高野丸も優しいし……………………………………
でもでもっ、やっぱりくちづけくらいしたいよぉっ!!
ふにゅぅ、なんか病人という立場を利用した甘え方はないもんかしら?
……………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………
…………………………………………………………………病人?
!!
これよっ!!
もうこうなったら、これしかないわっ!!
名付けて、”添い寝で言い寄り攻撃”っ!!
「ね、ねぇ、高野丸?」
「何?」
「あ、あのね、もう暗くなってきたし……………」
「あ、うん。じゃ、僕はもう帰るから。」
「そ、そうじゃなくってぇっ!!」
「?」
あ~もうっ!!
ホント鈍いんだからっ!!
「ひ、一人じゃ不安で寂しいから…………だから………」
「だから?」
「い……………一緒に寝よっ♪」
はぁ、もう……………どうして女の子に全部言わせるかな?
「……………でも、僕全然眠くないし……………」
だーっ!!
もう、あったまきたっ!!
「ひど~いっ!!私のこと、愛してないのねっ!?」
「あ、愛って…………………」
「恋人が寂しがってたら、添い寝くらいするのが愛情ってもんでしょっ!!」
「そ、そうかな……………………」
「そうよっ!!」
ホントにもうっ!!
ホントにもうっ!!
どうしてそんなにボケボケなのよっ!!
「……………………じゃあ、一緒に寝ようか?」
うにゃっ!?
「う、うん……………………」
な、なんか緊張してきちゃった………………………
考えてみたら、一緒に寝るって、くちづけだけじゃ済まないかも…………
…………わ、私ってば、なんて事言っちゃったのっ!!
ふにゃぁっ!!
どうしようっ!?

「じゃあ、おやすみ。」
「お、おやすみ……………」
あぁ、高野丸がすぐ隣で寝てるぅっ!!
ど、どうしよう……………………
ひ~ん、恥ずかしいよぉっ!!
……………………………………………………
こ、こうなったら覚悟を決めるのよ、秘女乃っ!!
そうよっ!!
将来夫婦になるんだから、全然恥ずかしくなんか無いわよっ!!
さぁ、勇気を出して………………頑張れっ、私っ!!
「た、高野丸………………………………」
「……………………………………」
「!?」
「……………………す~…………………す~……………………」
ね、寝てるぅっ!?
し、信じらんないっ!!
眠くないなんて言ったくせに、なんでもう寝てるのよぉっ!!
もう、馬鹿ぁっ!!
ふにゅぅ…………………………………………………
折角…………折角、勇気を出したのにぃ…………
…………………………………………………………
…………………………………………………………
もう、こうなったら、こっちからくちづけしてやるぅっ!!
「た、高野丸……………・♪」
あぁ……………高野丸の唇がもうすぐそこにっ!!
ついに………………ついに私も大人になるのねっ!!
ガシッ!!
「へっ?」
な、なに?なに?どうしたの?
「う…………ん…………」
あ、なんだ、高野丸ってば寝ぼけて私を抱きしめちゃったんだ。
「高野丸……………」
あったかい………………………………………………………………

……………………………………………………………………………
はっ!?
だ、駄目よ、秘女乃っ!!
こんなことで満足してちゃっ!!
あくまで目的は、”くちづけ”なんだからっ!!
んでは、いよいよくちづけをば…………
………………う、動けない………………
ふにゃぁっ!!
高野丸ってば思いっきり抱きしめてるから、身動き取れないよぉっ!!
これはこれで嬉しいんだけど、でもでも、これじゃくちづけが…………
「う~ん……………」
ぽんぽんっ……………
な、なに?
急に私の頭を撫で始めて……………………………
はっ!!
い、いやぁっ!!
寝かしつけられてるぅっ!?
あぁっ!!
駄目ぇっ!!
……………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………
………………クカ~ッ………………



ふにゅぅ…………………………
……………………………………………………
はっ!?
くちづけはっ!?
くちづけは何処っ!?
「あ、目が覚めた?おはよう。」
「!?」
辺りを見渡してると、高野丸が朝ご飯を持って入ってきた。
て、ことは………………………
私達……………そのまま寝ただけ?
そ、そんなぁっ!!
「………………………どうしたの?」
「………………………………」
ちょっと泣き出しそうになった私に優しく声を掛ける。
「………………………………なんでもない………………………………」
「………………………ホントに?」
「………………………うん…………………………」
「でも、泣きそうな顔してるよ?」
ホントに泣き出したいよぉっ!!
なんで二人っきりなのに、なにもしてくれないのよっ!!
高野丸のバカっ!!
「……………ちょっと、怖い夢みたから……………」
「…………………」
「でも、もう平気だから…………………………」
そうよっ!!
いつまでも落ち込んでなんてられないもんっ!!
この次は絶対にくちづけを……………………………
「秘女乃…………………………」
「?」
チュッ
……………………………………………へっ?
えぇ~っ!!
た、た、高野丸が…………………………くちづけしてくれた?
な、なんでぇっ!?
「……………………元気、出た?」
「え、あ、うん……………………」
「良かった。」
あ、そうか………………………………………………………………
高野丸ってば、私が怖い夢見たったのを真に受けて、それで私を
元気づけようとしてくれたんだ………………………………………
……………………………………………………………………………
……………始めっから、このテ使えば良かった……………
「じゃ、ご飯食べよっか?」
「うん♪」
そっかぁ、高野丸は悲しそうな表情に弱いのかぁ………………
うふふ………………今回は凄い発見しちゃったな♪
よ~しっ!!
次からは、このテでいこうっと♪

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と、いうわけで秘女乃のなんでもない一日のお話でした♪



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作者  さん