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隠忍伝説(サイドストーリー)

いやあ~お酒ってほんと怖いですね♪その2

novc 作

「あら叔父様。どうなさったの?」
「おお御琴。茨鬼いるか?」
「お父様はお母様を連れて、忘却の町になんでも用事があるとかで出かけていきましたわ」
「居ないのか茨鬼のヤツ」
 味見をしてくれる人が居なくて少々がっかり気味の砦角。
「もうすぐ帰ってくると思いますから」
「そうか。じゃあ待たせてもらうわ」
 御琴の言葉に砦角が応えた。
「おいおい。また日を改めたら良いじゃないか」
 いくら妹の家とはいえ、遠慮する天地丸。
「いいじゃねぇか。せっかく来たんだし」
「そうですわ叔父様」
 そう言いながら、お得意の右手を握って口元に近づけるポーズを取る。おまけに乙女チックな瞳で訴えかける御琴。
 そりゃ叔父様ラブラブな彼女としては、ここで天地丸を帰してしまったとあっては、女が廃るというものでしょう。
「……じゃあお言葉に甘えて」
 家の中に天地丸が入る。
「ふっ。可愛さに負けたな」
 砦角は見ていて飽きないって顔をした。

「そういえば音鬼丸は?」
 天地丸は、いつもだったらすぐに出迎えてくれる愛しい甥が見あたらないので気になった。
「お兄様は、もう寝ちゃいました。……お昼にちょっとありまして」
「なにっ!!……そういえば昼っていえば御琴が」
「もう~叔父様それは言わないで下さい」
 御琴は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「ははははは。分かった分かった」
 天地丸は御琴の頭をなでながら言う。
 なでられている御琴は、はにかんだ笑みを見せた。
「だが心配だな。ちょっと音鬼丸を見てくる」
 そういうや否や、天地丸は颯爽と音鬼丸の部屋に向かった。
「ああ叔父様ぁ。……行っちゃった」
 引き留める暇もなく、天地丸は音鬼丸の所に行ってしまい御琴は少し落胆した表情を浮かべる。
「あ~あ行っちまった。まあ帰ってくるまでコレで一杯やるか」
 そう言って砦角は背中の瓶を降ろした。
「それなんですか?」
 瓶に興味を示した御琴が砦角に訪ねる。
「ああコレか?コイツは俺が作った濁酒(どぶろく)だ」
 砦角は『コイツは自信作なんだぜ』と言いながら瓶をなでた。
 そして、柄杓でどこからか取り出した杯に注ぎ一気に飲み干す。
「ぷはぁ~たまらんな~」
 心底美味そうに呑む砦角を見て御琴が問いかけた。
「それそんなに美味しいですか?」
「あったり前よぉ」
 そう言って砦角は御琴に杯を差し出す
「えっ!?」
 いきなりのことに困惑する御琴。
「味見してくれよ」
「あっあのう私まだ……子供ですし、お酒はちょっと」
 御琴は遠慮がちに砦角に言った。
「気にするなよっ。なあに味見だ。一口でいいんだ感想さえ聞かせてくれりゃあいい」
 そして強引に御琴に杯を渡し、濁酒を注いでいく。
「でも……やっぱり……」
 親がいない間に酒を飲むということに対し、性格的にマジメな御琴は困惑していた。
「なあに。一口だけだ。酔わねぇよ。さあさあ」
 砦角の勢いに飲まれ、御琴は仕方なく一口だけ濁酒を呑むことにした。
「じゃあ……一口だけ」
 そして口元に杯を持っていく。
 濁酒の匂いが鼻をくすぐった。
「あっ甘い香り」
 あまりの良い香りに御琴は言葉を漏らした。
「そうだろそうだろう。さっ呑んでみてくれ!!」
 早く感想を聞きたくて仕方がないように御琴を急かす。
「じゃあ」
 そう言って、御琴は杯に口をつけた。


「おじさん」
 目を開けたら、目の前に天地丸がいたのでビックリした音鬼丸。
「あっ起こしてしまったか?」
 天地丸はすまなさそうに答えた。
「いえ、ちょうど起きたところですよ」
「そうか……体、大丈夫か?」
 昼間のことを思い出し、容態を気にする天地丸。
「はい。もうこの通りです。でも流石に御琴の一撃は答えましたね」
 音鬼丸は笑いながら答えた。
「元気ならそれでいいんだ。さあ砦角の所に戻るか」
「えっ砦角さんの所に行くんですか」
 音鬼丸は砦角という言葉を聞き、少し驚いた顔をした。
「ああ、一緒に此処へ来たしな」
「あっそうなんですか。それなら、挨拶をしておかなくちゃ」
 音鬼丸は起きあがろうとする。
「無理はするな、まだ寝ておけ」
 天地丸は音鬼丸を寝かせようとした。
「もう大丈夫ですよ。それに挨拶するだけですから」
「そうか?それならいいんだが」
「こう見えてもおじさんの甥ですよ。体は丈夫にできてます」
 天地丸は音鬼丸の頭をなでると
「じゃあ、行くか。でも無理だけはするなよ」
 と微笑みながら言った。
「はい」

砦角が待っている部屋から笑い声が聞こえる。
どうやら砦角と御琴の声だ。
天地丸と音鬼丸は、砦角と御琴の二人であんな笑い声が聞こえるなんて意外だな。と思いながら、部屋に入った。
そこで見たものは…………。
「おお良いぞ御琴!!」
「これぞ隠れ里名物『水芸』ですわ♪」
 そこには器用に『落水破』を応用して水芸をしている御琴と、それを眺めて喜んでいる砦角がいた。
「さあさあ、これからが本番です。……あっ叔父様・お兄様ぁ」
 二人の視線に気づき、御琴は水芸を一時的に中断する。
 御琴のあまりの変わりように、天地丸と音鬼丸は絶句していた。
 天地丸なんて顔面蒼白だ。
 一方音鬼丸は、なにが起こっているのか分からないらしく、口をパクパクさせていた。
「……みっ御琴……これは一体?」
 天地丸がやっとの思いで口を開き、御琴に訪ねる。
「えっ!?『水芸』ですわ♪」
「いや……そうじゃなくて…………なんで、そんなに高揚していらっしゃるんですか?」
 あまりの変化に思わず敬語になってしまう我らが天地丸。
「別にいつも通りです♪それより叔父様もコレ呑みましょうよ!!」
 そう言って、御琴は砦角が持ってきた瓶を指さした。

――――まさか!!

 そこは勘の良い天地丸。
 伊達に最強の男で忍者やってません!!
 ギロッと砦角をにらみ

「砦角!!おまえ御琴に『濁酒』呑ませたな!!」
 激しく詰め寄って、砦角の胸元を掴んだ。
 ……最強の男も『可愛い姪』のためだと、感情をあらわにするようです。
 一方砦角は、今すぐにでも転身して八つ裂きにされそうな勢いの天地丸に恐れをなしていた。
 いや、微妙に角が生えかけている。
 転身まであと少しというところだ。

 命の危険を感じた砦角はなんとか、なだめようと考える。
 普段、そういう事に頭を使わない砦角は、今まで生きてきた中で、一番脳細胞を使っていた。
 走馬燈のように今までの記憶がよみがえる。
 高野丸との出会い。天地丸との修行。わんぱく小僧だった幼年時代。そして秘女乃との対決。

―――そういえば秘女乃……いい女になったな。早めに手を出しておくべきだった……
 
 普段頭を使わないので考えなければいけないことと、全く違うことを考えてしまう砦角。
『考える』ということが最も似合わない男、砦角。
 自分の歳すら正確じゃない彼(ONI4より)に考えるということは無謀だろう。

―――って違~う!!

 やっと間違いに気づいた彼は、改めてこの状況を考え直す。
 そして対処方を思いついた。

 ちなみに胸倉を捕まれてから、ここに至るまで所用時間3秒です。
 人間、どうしようもない状況になると、超高速で物事を考えられるようで。

「いっいや、味見だけと思って……一口だけ呑ませたら…………こうなっちまったんだよ。テヘッ」
 いきなりキャラが変わったが……まあおいておこう。
 逆に『テヘッ』がしゃくに触ったのか、天地丸は右手だけ器用に転身すると、その転身した右手に雷をこめ始めた。
「まっまて!!話せばわかる!!なっなっだから『破邪の拳』はやめてくれ!!」
 しかし砦角の願いも虚しく、天地丸は無情にも拳を振り下ろす。
 その衝撃は、里中に響いたという。
 ちなみに砦角は大きな『たんこぶ』を作っただけで済んだそうな。
 さすが頭まで筋肉。

「さてと……不埒物を処分したし…………御琴!!」
 足下に転がる砦角を何下に踏みつけ、御琴の方を見た。
 そしてまたもや絶句。
「おじさ~ん!!」
「さあ~じっとして下さい!!お兄様ぁ」
 音鬼丸は寝ころんでいる。
 いや寝ころばされていると言った方が良いだろう。
 あお向けに寝ころばされた音鬼丸の上に、馬乗りで御琴がのし掛かっている。
 そして左手で、音鬼丸の両手を押さえ込み、右手で音鬼丸の服を脱がそうとしているのだ。
 音鬼丸は天地丸を見つめ必死に訴えかけていた。
 反対に御琴は鼻息も荒く、いかにも今すぐ食べちゃいたいオーラが出ている!!
 俗に言う「襲う」という言葉がぴったりだ!!

「叔父さ~ん!!助けて下さいよ!!!」
「お兄様ぁ~私たちは半身同士……元々は1つなんです!!だから1つになるのは当たり前ですのよ!!!なにをためらってらっしゃるの?」
「そんな問題じゃない!!」
「じゃあどんな問題ですか!?……いいえ例え問題があったとしても私はそんなの無視します!!!」
「叔父さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
 御琴の暴走は続く!!
 音鬼丸の貞操のピンチだ!!
 もっもしかして、ここで18禁の世界が到来か!?
 ししししししかも、兄妹で!?
 ある意味ファンが喜びそうな展開が始まるのか!?

「………………めだ」
 天地丸が下を向きながら、なにか呟いた。
 次の瞬間、目から滝涙をながして
「これは絶対夢だ~悪夢だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~」
 と叫びだしたのだ。
 ご丁寧に、両手で頭を抱えながら。
 ああこれが最強の男、シリーズの顔、沈着冷静、ナイスミドルを誇ったあの天地丸のなれの姿なのか!!!!!
「叔父さんは、そんなこと認めんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
 そう叫んで、気絶している砦角を引きずって走り去ってしまった。
 ちなみに砦角の手にはしっかりと例の『瓶』が抱えられていたそうな。


おっ叔父さぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!そっそんな~」
 尊敬する叔父さんが号泣して走り去ってしまったため、誰も助けてくれる人が居なくなった音鬼丸は背中に悪寒が走っていた。
 
―――ああ父上、母上早く帰ってきて。

 その願いも虚しく、御琴の勢いは止まらない。
「お兄様ぁ。ついに二人の障害はなにも無くなりましたわ♪叔父様も気を利かせてくれて出て行ってくれたじゃありませんか」
 思いっきり、天地丸の思いを曲解して受け取った御琴。
 その目には、もはや『犯りたい』という意識しか感じ取れない。
「みっ御琴!!」
 尚も抵抗を続ける音鬼丸。
 普通の音鬼丸なら、御琴の力なぞ楽に返せるはずなのだが、今の御琴は通常では考えられない力で、音鬼丸を押さえ込んでいる。
 完全に力負けだ。
「もうお兄様ぁ。往生際が悪いですよ。…………わかりました。御琴がその気にさせて上げます!!」
「えっ!?なっなにをするんだ!!」

「服脱いじゃうも~ん♪」

「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」

 音鬼丸が絶叫している間に、御琴は片手で器用に服を脱いだ。
 しかもあっという間に。
「ほらぁ~お兄様ぁ~これでも御琴が欲しくありませんか?」
 そこには一糸まとわぬ御琴がいた。
 透き通った白い肌。
 適度な大きさの二つのふくらみ。
 そして妖艶な微笑み。
 もう皆さんにお見せできないのが残念だ!!
 こんな御琴が側にいれば貴方の人生薔薇色!!!
 この状況で本能の赴くままに行動できなくてなにが男だ!!
 さあ頑張れ音鬼丸!!
 読者が、この後の桃色の展開を待っているゾ!!
 
「あっうっえっいっ」
 肝心の音鬼丸は、言葉が上手く発せないみたいだ。
 やっぱり純情ぽいもんね彼。
 おそらく母親以外で初めて見た女性の裸体でしょう。
 しかも相手が『好きな物:妹』って書くくらい溺愛している妹とあっては、もう言葉になりません。
 この幸せ者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。
「さあ~お兄様ぁ。失楽園へ参りましょう☆」
 そう言って、音鬼丸にしなだれかかり、そっと彼の耳を噛んだ。
 そのとたん、音鬼丸が痙攣を始めた。
 やっとその気になったか音鬼丸!!
 さあ早く、甘美な世界を見せておくれ!!!
 …………ん?
 なんか様子が変だね。

ドバァァァァァァァァァァァァァァァァァァ

 音鬼丸はいきなり鼻血を凄い勢いで吹き出すと、完全に意識を失ってしまった。
 やっぱり彼には刺激が強すぎたか。
 一方御琴は、何が起こったか分からないまま呆然としていた。

 その後、用事から帰ってきた茨鬼夫婦は、里が壊滅しているのを見て呆然としていた。
 音鬼丸が意識を失ってしまったため、つまらなくなった御琴は、こともあろうに里の中で法術をぶっ放し始めたのだ。
 轟雷・火炎地獄・振動烈破・六道烈破と持てる限りの力をつくして。
 里の妖怪は後に語る。
『あれはまさに鬼神でした』と。
 御琴は里のど真ん中で、裸になって寝ているところを琴音が発見&保護をした。
 一方音鬼丸は、壊滅した茨鬼邸で、出血多量でもう少しで死ぬところを茨鬼童子によって発見&治療され一命を取り留めたのである。
 御琴は、酔っていた記憶が完全に欠如していたが、父と母によって里中にお詫びをさせられに行ったという。

 両親と御琴が里中にお詫びに行っているとき、留守番をしていた音鬼丸は縁側でお茶をすすってこう呟いた。
「とっても良いものが見られました。神様有り難う御座います。ぼかぁ……幸せだなぁ~」
と。



「兄貴ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ音鬼丸と御琴がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 あのとき走り去った天地丸は、砦角を引きずりながら、彩蔵のところに駆け込んで行ったのだった。
 砦角の手にしっかりと抱かれた『瓶』は、さらなる悲劇を生み出そうとしていた。



あとがき
皆さんお久しぶりです。
さてこの濁酒シリーズ第2話どうだったでしょうか?
えっ!?御琴暴走しすぎですって!?
…………いや、まあ(苦笑)
このお話書いたとき、お酒を呑みながら書いてました。
普段なら絶っっっっっっっっっ対使わないような表現を使ったり、変なネタが浮かぶ浮かぶ……(爆)
これも酒のなせる技……いや~お酒ってほんと怖いですね♪(笑)
しかし、予想以上に御琴が動いてくれたのが良かったです。
……………………最近ギャグしか書いてないなぁ~
そろそろシリアスネタでも書こうかなぁ。
ONI零あたりで。

そうそう次回、濁酒シリーズの主人公は皆さんお分かりですね♪
どこまで壊してやろうか…………ふっふっふ

novc



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