隠忍伝説(サイドストーリー)
いやあ~お酒ってほんと怖いですね♪その1の続編?
novc 作
「さあ!!話してもらいましょうか!!!なんで浮気してたのよ!!!!」
目の前には……おっと口ではとても表現できないオーラを発した……般若……いや若奥様が居た。
「えっと……そのう……だから」
反対に当のご亭主はしどろもどろ。
浮気がばれた亭主ってみんなこんなのなのかな。
でも、目の前にこんな夜叉……もとい奥様が仁王立ちしていれば……こうなるでしょう。
御亭主さん……高野丸はあのお茶屋の失態の後、自宅に連行され、浮気を問いつめられていた。
当然仁王立ちしているのは『秘女乃』様!!
「男だったらハッキリ言いなさいよ!!」
もう落ち着くどころか、ますます怒りは加熱していく。
―――う~ん記憶がないんで、ハッキリ言いたくても言えないんだけど……言わないと……また三途の川に行っちゃいそうだしな。
高野丸はこんな事を考えていた。
なにしろさっきまで三途の川にいましたし。
嵐童と真砂とも合って、つもる話をしたくらいだ。
―――父上と母上。幸せそうだったなぁ~
もう現実逃避の世界に入ってしまった高野丸。
「ちょっと聞いてるの!!高野丸!!!」
いきなり秘女乃に胸倉を捕まれる。
「きっ聞いてます!!聞いてますよ!!!」
高野丸が、そう言うと秘女乃は手を離した。
そして秘女乃は下にうつむくと、ポツリポツリを話し始めた。
「…………そりゃ……私はお料理出来ないわよ…………お洗濯もダメ…………お裁縫もダメ…………妻として失格だと思うわよ…………でも……でも、それでも…………一生懸命努力してるんだから!!…………ちょっとずつでも…………上手くなろうとして…………良い奥さんになろうとしてるのに…………」
そう言う秘女乃の声が涙混じりになってきた。
高野丸は目を反らさず、真剣に聞いている。
「…………高野丸…………の事が好きだから…………大好きだから…………少しでも役に立ちたいと思って…………それなのに…………それなのに!!!」
そこまで言うと秘女乃は泣き崩れてしまった。
高野丸はそっと近づいて秘女乃を抱きしめてやる。
そして耳元でこうささやいた。
「秘女乃が頑張ってる事は知ってるよ。いつも僕のためにありがとう」
高野丸はさらにきつく抱きしめる。
「…………グスッ……苦しいよ高野丸」
「あっゴメン!!」
慌てて力を緩めた。
そして秘女乃が顔をあげる。
高野丸と視線が触れあうと沈黙が訪れた。
しばしの沈黙。
その後は、どっちが動いたか分からない。
もしかしたら両方同時に動いたかもしれない。
ただ…………長いキス。
お互いを確かめ合うように……お互いを求め合うかのように……
「ゴメン。秘女乃」
「ううん。もういいの」
すっかり仲直りした、二人は相変わらず抱きしめってお互いを確認し合っていた。
「それにしても、どうしてあんな事をしたの?」
ずっと引っかかっている疑問を口にしてみた。
「…………実はね。覚えてないんだ」
高野丸はボソッと申し訳なさそうに言った。
「うそっ!」
ビックリした反応をする秘女乃。
「いや砦角に呼び出されて、お茶屋にいただろ?」
「うん」
「それで、天地丸さんと一緒に呑んでいた記憶はあるんだけど、砦角手作りの『どぶろく』を呑んだ後から記憶がないんだよ」
「えっ!?」
「おかしいよねぇ~……でもその後に秘女乃を傷つけたのは間違いないから……本当にゴメン!!」
高野丸は本当に申し訳なさそうに言った。
しかしここで秘女乃はある事に気づいた。
これが女の勘なんだろうか?
「……いえ、高野丸は悪くないわ」
―――そういえば、高野丸はお酒にとことん弱いはずよ?いつも神泉酒を薄めて飲んでるくらいなのに。普通のお酒を呑んだらすぐに寝てしまうのよ。それなのに酔っぱらって女狐を押し倒すなんて暴挙出来るわけ無いじゃない!!
恐ろしく、高速に考えをまとめると
「…………うっふっふ。見てらっしゃい砦角。よくも高野丸にこんなことを。どうしてやろうかしら……………………うっふっふ」
横で聞いている高野丸は、恐ろしさの余り気を失いそうだ。
「ひっ秘女乃さん!?」
「そうねぇ~呪いをかけてやろうかしら♪それもじわじわ聞いてくる遅効性の奴を。それとも…………」
このあと砦角がどうなったか誰も知らない。
あとがき
元々は「本編」に入ってくる話だったんですが……どうも今までの展開のノリと違って…………本編のノリを壊しそうだったので、あえてカットした部分です。
というかこの部分を入れると、音御編に影響を与えそうな気がしたんで。
ちなみにワードの標準設定で2Pにも及んでいます。
一部から、あのあとどうなったか知りたい!!
との声により、ついに表舞台に出てきたこのお話。
次に更新するのは頑張って新隠忍伝説を更新!!
って景気よくいきたんですが…………なにぶん今の展開でワードで60kbを越えています。つまりページで言うと12pを越えているという……(汗)
どこで一区切り付けようかな。
まあ。頑張って次書き上げますぅ~
ではでは
novc
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