隠忍伝説(サイドストーリー)
覗きはやっぱりいけません
novc 作
「どこへ行くんだ外道丸?」
いきなり声をかけられてビックリする俺。
「えっあっああ~ちょっとな。……そうちょっと散歩へ」
焦りながら答える俺。
「ふ~ん。まっ明日に備えてあんまり遅くまで出歩くなよ」
「あっああ。ちょっとだけだからさ。じゃあ留守番頼むゼ司狼丸」
良かったぁ~。
気づかれなかった。
まあ司狼丸は、結構人のやることに無関心だからな。
余計な詮索はしないし。
沙紀だったら、根ほり葉ほり聞きやがるから面倒なんだけど。
さあ~って俺は例の作戦決行だ!!
狙うべき獲物は、はたしているのだろうか。
ふっふっふ。
さあ~って今日もたっぷり拝ませてもらうゼ!!
一日一回のお楽しみ♪
それは「
覗き」
覗きは外道のする事だが、ばれなきゃいいのよ。
ばれなきゃ。
それに俺の名前は外道丸♪
外道をするために生まれてきたのさっ。
覗きは男のロマン。
憧れ。
特に思春期の子供はなにがなんでも覗いてみたい。
禁断の部屋。
その名は女子風呂。
俺は今から、それを決行しようとしている。
いざ行かん。
秘密の花園へ!!
おっと良い子は絶対に覗きはしちゃいけないゼ!!
現代だと捕まってしまうからな。
これは俺との約束だ。
さて風呂についた。
おお、お湯を流す音が聞こえる。
とりあえず誰が入っているか確かめよう。
幸い、お風呂の沸かし係はいない。
そうっと覗いて……
いたいた俺の獲物。
ズバリ沙紀だ!!
沙紀は最近グッと色っぽくなったからな。
なんだか大人な女の感じがして意識しちまう。
昔は風呂にも一緒に入ったのによ。
それ以外の入浴者がいるか探してみた
他には……いないのか。
沙紀一人だけで風呂に入ってる。
まあいい。
俺の本命は沙紀だからな。
おお丁度体を洗い終わってお湯を流すところだ!!
う~ん良いねぇ。
風呂だから髪を解いている。
髪を解いた沙紀ってのはあんまりお目にかかれないし、解いたら解いたでグッと色っぽくなるんだよな。
それに最近胸が大きくなりやがった。 おお今ならバッチリ見える!!
湯船にはいると案外覗いても顔だけだから面白くない。
やっぱり体を洗っているときが一番だ。
そいでもって、最後のお湯をかけるところ!!
もう~色っぽいの何のって。
良い乳してるゼ。ほんと。
それとあの太股!!
いいねぇ~。
やっぱり沙紀の魅力は太股って言う声も高い。
依頼を受けても「
あの娘の太股いいですな。デヘデヘ」っていう声を聞くぐらいだからな。
まあ大概そんな事言うのは、強欲村長とか変に権力を持ってるヤツばっかりだけどよ。
だけど、あの太股はいいなぁ~。
おおいかんいかん。
鼻血が出てきた。
とりあえず止血しないと。
あったあった、この懐紙(かいし)で。
よし鼻に詰めた。
おお沙紀が体を洗い終える。
これが終われば湯船にはいるはずだ、
入ってしまったら今日の覗き終了だっ!!
最後にバッチリ目に焼き付けておかないとな。
俺は、もっとよく見えるように壁に張り付く。
壁に全体重を乗せた瞬間。
バキッ
あっ壁が腐ってやがった。
その勢いで、壁を突き破り前へ転倒する。
「イテテテテテ」
不意だったので、モロに衝撃を受けちまった。
「げ……どう……まる」
沙紀が呆然とした口調で俺に話しかける。
声の方を見ると、そこには一糸まとわぬ沙紀の体があった。
う~ん幸せv
思わずじっくり見てしまう。
あっヤバ。目が合っちゃった。
「よっ沙紀」
とりあえず場の雰囲気を和ませるために、軽く右手を挙げ挨拶する。
「……きゃあああああああああああああ」
沙紀は体を隠しながら絶叫をあげた。
俺は急いで逃げようとする。
しかし錯乱した沙紀が風呂桶やたわしなどそこら中のモノを投げつけてくる。
あまりの猛攻に逃げれない俺様。
「おい、落ち着けっ沙紀!!」
「これが落ち着いていられるか!!」
「悪かった謝るから!!許してくれ。もう二度としない。神に誓ってっ!!!」
「んなもん信じられるか!!!!!」
あっ向こうの方から走ってくる音が聞こえる。
「どうしたんだ沙紀!!」
いきなり風呂の入り口を開け登場したのは司狼丸。
「あっ」
今くり広げられている状況を見て絶句する司狼丸。
言い替えよう。
沙紀の裸を見て絶句する司狼丸。
あっあいつも鼻血流してやんの。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
この声を皮切りに、沙紀の体に力が集まってくる。
ヤバイ……これはっ!?
「流牙陣ッ」
「おい。おまえのせいだからな」
「なにおう~おまえも覗いたじゃねえか」
今、俺と司狼丸は宿屋の外の木にスマキにされて吊されている。
怒りが収まらない沙紀にされたんだよっ。
あの後の沙紀は……語るも恐ろしい地獄のお仕置きを受けた。
まさしく般若とはあのことを言うんだろうな。うん。
「違うっ俺は沙紀が心配で見に来たんだ。外道丸と違って俺は覗きはしてねぇ!!」
「うっ」
なにも言い返せない俺。
「俺は完全なとばっちりだ」
凄い目でにらむ司狼丸。
頼むそんな目で俺を見ないでくれ。
反省するから。
でも……一つ気になるな。
俺は即、司狼丸に質問する。
「……でも、沙紀いい体してただろ」
「………………………………………うん」
あっコイツ真っ赤な顔して言ってやがる。
「へへっそうかそうか」
「なに笑ってんだよ。気味わりぃ」
焦ったように取り繕う司狼丸。
「今度覗くときは誘ってやるからよ」
「いいよ。人の道はずしたくないし」
「俺達は隠忍だから関係ねぇ」
「こう言うときだけ、隠忍を良いように解釈するなっ」
「まあまあ。沙紀は最近急成長してるぞ!!毎日覗いて飽きない。特に乳なんて……」
「……おい。毎日やってたのか」
「おおっ」
司狼丸に俺は力強く答える。
ヒュン
あれなんか音が聞こえる。
ビシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
風を切る音が聞こえてきたと思ったら、巨大な刃物が飛んできた。
そいでもって性格に俺の方に向かってる。
「うわっあぶねぇ~」
間一髪、体を揺らし避ける俺。
そして刃物が飛んできた方向を見た。
「沙紀」
司狼丸と声がハモる。
「どうしてここに?」
司狼丸が沙紀に訪ねた。
「そろそろ反省しただろうと思ってね、木から降ろしてあげようかなぁ~なんて来てみたら二人の会話が聞こえて(はあと)」
「聞いてたのか?」
俺は焦りながら沙紀に聞く。
「ええ~、『今度覗くときは誘ってやるからよ』あたりから(はあと)」
そういって鬼爪の指輪を構える沙紀。
ちなみにさっきの刃物は鬼爪の指輪だ。
「……死ぬなよ」
司狼丸がポツリと呟いた。
「それはねぇだろっ。助けてくれよぉ」
「俺はまだ死にたくない。おまえが蒔いた種だろっ」
ああなんてひどいんだ司狼丸。
昔はあれだけ『外道丸。外道丸』って俺の側を離れなかったのに。
いつからこの子は外道丸離れをしてしまったんでしょう。
あたしゃ悲しいよ。
「さあ外道丸には本当に……
地獄へ逝ってもらいましょうか(はあと)」
そういって沙紀はニッコリ微笑む。
しかし今の俺には黄泉の国への誘いでしかない。
「ねっ(はあと)」
あっ目がイッちゃってる。
明日のお天道さん拝めたらいいなぁ~。
後日談
「おい司狼丸。」
「なんだ?」
「風呂覗きに行くゾ」
「なんだよ~この前ので懲りたんじゃなかったのかよ」
「あの時は確かに懲りたが、その程度で男のロマンを捨てるこたぁできねぇ」
俺は力説する。
あの後、マジで三途の川を渡りそうになりました。
なんとか帰って来たけど。
「外道丸!!」
いきなり襖(ふすま)が開いて、入ってきたのは沙紀。
「まだあんた…………懲りてない訳ね……
今度こそトドメぇ~」
そう言って沙紀は鬼爪の指輪で攻撃してくる。
「うわ~」
全力疾走で逃げた。
「待ちなさ~い」
うわ~、今捕まったら今度こそ殺されかれん。
とにかく逃げ切るあるのみ!!
「そう簡単に捕まらねぇ~よっ」
そうは言ったものの、後ろから追いかけてくる沙紀に心底恐怖している俺であった。
あとがき
なんか久々にONI零キャラで書きたくなり、どういった話を書こうか考えた結果、ギャグにしやすい外道丸を主人公にしてみました。
沙紀が特に好きな僕としては、もっとカワイク活躍させたいんですが、どうしてもこういう壊れキャラになってしまいます。
沙紀ファンの方申し訳ありません。
ちなみに外道丸に関しては、僕の中ではこういう扱いです。コレに関してはなにも受け付けません(笑)
いつかまともなONI零小説書こう~と!!
でもこいつらでシリアスやるとなると、じっくり考え込まないと作れません。
ギャグだと軽い気持ちで書けて、なおかつ書いている方も楽しいんですがね。
この話は『思春期特有の男子に生ずる見てぇ~』と思う気持ちを形にしてみました。
ですから女性にはちょっと『え~マジ~』と思うようなところが多々あったと思います。
でも以外と男子はこういう感じで本質的にエロイです。
きっとこの話の外道丸に共感を覚えた方は結構居るでしょう。(男子に限り)
共感を覚えなかった男子諸君!!
貴方は聖人君子です。きっと。
まあ、確かにこんな事を思わない男子もいるのですが、少なくとも作者はこんな事を考えたり『する』こともあります(笑)
今回では外道丸に好き勝手やらせたので満足しています。
またギャグやりたいな~。
それではまた次回。
今度は……新隠忍伝説かシリアス短編か……とりあえずシリアスを目指します。
novc
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