ONIの里

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隠忍伝説(サイドストーリー)

琥金丸から常葉丸への質問

novc 作

ここは鹿護村・静那の実家の道場である。
常葉丸は静那の家に遊びに来たのだが、あいにく静那は留守。
となりの道場へ顔を出すと、たまたま琥金丸が自主練をやっていたので、静那が帰ってくるまで付き合ってやる事にした。
かなりハードな練習をしたので丁度今、休憩している最中である。

「なあ常葉丸?」
「なんだ琥金丸?」
「質問があるんだけど良いか?」
 常葉丸に質問する琥金丸。
 珍しいなと思いながらも常葉丸は質問を聞いてやる事にした。
「ああ、俺に答えられる事なら構わないぜ」
「じゃあ……前から思ってたんだけどよ。おまえ前に『静那先生は好きだけど静那先生の料理は嫌い』って言ってたよな?」
「確かに言った」
「どんな料理を作るんだ?」
「塩と砂糖を間違えるのはしょっちゅうだし、味噌汁なんて味噌をお湯で溶いただけ、出汁で溶くなんて知らないんだぜ?……おまけに出汁の取り方も知らないし……」
「その程度ならガマンできるだろ?」
 そう、その程度なら教えればすぐに出来るレベルだ。
 常葉丸のプロフィールにわざわざ『嫌いなもの:静那の料理』なんて書くはずがない!!
「問題はその後だ!!ありきたりの材料しかないのに出来上がる物は……」
 そこまで常葉丸は言うと、口をつぐんだ。
「なんだよ!!もったいぶらずに教えろよ!!!」
琥金丸がそう言うと常葉丸は身震いして
「思い出すだけでも……おぞましい……」
と真っ青になって答えた。
「口で言わないと分からないだろ!!だからどう、おぞましいんだ!?」
「……見た目が悪くて殺人的な味の料理ならまだマシな方なんだ。……炭で出てくるならまだ命が助かる……問題は……」
「……問題は?」
 琥金丸がそう言うと、一呼吸して常葉丸が続きを言った。
「……問題は……」
 思わず息を飲み込んでしまう琥金丸。
 そしてしばしの沈黙。
「やっぱり言えないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
「さっさと言わんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」
 琥金丸は常葉丸の胸倉を掴み揺する。
「言えない物は言えないんだ!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
 胸倉を捕まれてもなんのその!!
 常葉丸は琥金丸の戒めから逃れると走り去っていった。
 大の大人が涙を流しながら。

「…………たく、なんだよ常葉丸の奴。教えてくれても良いのになぁ~ケチな奴だ」
「あら琥金丸。まだ練習していたの?」
「あっ静那先生。お帰りなさい」
 そこへ静那が帰ってきた。
「常葉丸が来てるって聞いたんだけど?」
「ああ常葉丸ならさっき帰りました」
「ええ!!……残念」
 心底残念そうな表情をする静那。
 普段の静那からは考えられない表情を見られたので琥金丸はちょっと得した気分になった。
「まあいいわ。どうせまたすぐに訪ねてくるんだし…………そうだ琥金丸」
「なんですか静那先生?」
「今から晩ご飯作るんだけど、一緒にどう?」
 思いがけない静那の申し出に琥金丸はビックリ。
―――常葉丸はあんな事言ってたけど……どうなんだろう……気になるな。
 琥金丸に『怖い物見たさ』という感情が生まれた。
「良いんですか?……ひょっとして常葉丸に食べさせる料理の試食ですか(笑)」
 ちょっとからかい気味に答えた琥金丸に対し
「んもう!!そんなんじゃないわよ!!!」
 と顔を真っ赤にして反論する静那。
しかし満更でもなさそうだ。
「っとっとにかく家へいらっしゃい」
 そう言われ、家へ招待された。

「ここで待ってて。すぐに作るから♪」
 琥金丸に居間で座っているように促すと、静那は料理に取りかかった。
 ちなみに静那の両親は静那が料理すると聞いて二人で『ちょっと用事が』と言って出て行ってしまった。
 『今日の犠牲者は琥金丸君か』と捨てゼリフを残して。

それから小一時間。

 さっきからあからさまに変な匂いがする。
―――コレ……まさか静那先生が作ってる料理の匂いじゃないよな?
 琥金丸は、あまりに強烈な匂いのため気を失いそうになってきた。
―――常葉丸が言っていたのって…………本当の事か?……いくら怖い物見たさとはいえ……こんな匂いをするものを食べさせられたんじゃ死ぬかもしれん。よし!!

 ついに家を飛び出す決心をした琥金丸。
 今まさにそれを実行しようとしたときだった。
「おまたせぇ~♪」
 タイムアウト!!
 静那が料理を完成させ今に持ってきた。
「…………先生…………それは一体?」
 とりあえず先生が持っている物を突っ込んでみる琥金丸。
「んもう!!私の手料理に決まってるじゃない!!」
 そこまで言うと、その手料理をちゃぶ台の上に置いた。
「さあ召し上がれ♪」
「…………あの静那先生。俺腹の」
「食べないと阿修羅の刑ね♪」
 そう言うや否や刀を抜こうとする静那。
 ちなみに目が逝っちゃってます。
 琥金丸は、その眼力で動けなくなってしまった!!!!!
「あっもう仕方ないわねぇ~食べさせてあげる」
「いやぁ~遠慮しときます。常葉丸に悪いですし」
「そんな事気にしないで。さあ!!!!!」

「いえ結構ですから……うぐっ匂いが……って

先生それ動いてますぅ!!!

息してます!!!!

こっち見てます!!!!!

うわっ!!!!!!

まじタンマ!!

本当に!!!!

だから!!!!

いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ

やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

!!!!!!」


この後、しばらく琥金丸は『料理』と聞くだけで震え上がったそうな。



あとがき
おもえば常葉丸と琥金丸が出てきたのってこれが初めてですね。
HP開設して1年以上経って登場って(汗)
まだSFC組も登場していないですし……
最近は音鬼丸&御琴に愛を注いでいたからなぁ~(爆)

今回は、すんごく軽い気持ちで書きました。
純粋に『自分が楽しんで』書いてみたくなったんです。
とりあえず前々から気になっていた『静那の料理』に突っ込んでみようと。
僕のイメージでは静那の料理って摩訶不思議な物だと勝手に思っています。
摩訶不思議なので、あえて最後の料理に直接的描写を入れませんでした。
琥金丸のセリフから皆さん想像して下さい。
一人一人の考えたモノが貴方の静那の料理です。

常葉丸があれだけ怯え、琥金丸もビックリのあの料理。
その恐怖がチビっとでも貴方に伝われば今回のネタは成功です。

それにしてもキャラ同士のかけあいで質問(僕が思っている疑問)を物語にしてみるのって面白いですね。
はまりそうです。
これも又ネタがあったらシリーズにしてみようかな~
というわけでまた次回に(≧∇≦)

novc