ONIの里

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隠忍伝説(サイドストーリー)

毛虫騒動

novc 作

「今日はいい天気だな~。なっ御琴!!」
「ええそうね、お兄様。本当に良いお天気♪」
 音鬼丸と御琴は自分の家の縁側でひなたぼっこをしていた。

「そういえば今日はおじさん(天地丸)が来てるんだろ?」
「ええそうよお兄様。なんでもお母様に用事があるみたいだけど」
 と兄、音鬼丸の言葉に御琴が答える。

それは天地丸の建前で、実際は妹、琴音(音鬼丸&御琴の母)よりも可愛い甥っ子&姪っ子に会いに来たのだが。

「それにしてもほんといいお天気~♪。あっ!!」
 そう言うと御琴は、近くの木まで歩いていき上を見上げた。
「あっやっぱり。つぼみが膨らんでる。もうすぐ咲きそうね。ねえお兄様この木のお花もうすぐ咲きそうよ」
 音鬼丸の方へ向き、兄を呼ぶ。
「どれどれ」
 そういうと音鬼丸は御琴の隣へ来る。
「あっ本当だ」
「ねえそうでしょ」
 音鬼丸の顔を見ていた御琴がまたつぼみの方へ向いたとき………

ピトッ

 なにかが御琴の肩へ付いた。
 御琴はなにが付いたのだと思い自分の肩を見る。

一瞬絶句。

 そいつは、もぞもぞ動いている。
 そうこの世で一番嫌いなアイツだ。
 だがそんな奴が肩に付いたなんて認めたくない。
 だがそのとき
「あっ御琴!!肩に毛虫が」
 なんて言ってしまったからさあ大変!!

 その言葉を皮切りに
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 御琴が暴れ出した。
 そうご存じの通り、御琴の嫌いな物は「毛虫」
「おい!!御琴そんなに暴れるなっ。今取ってやるから」
 
 
 しかしそんな兄の言葉を無視し御琴が暴れる。
 だが毛虫は取れる気配がない。
 いや毛虫はむしろ首筋に近づいてきている。

「いやあぁ~お兄様早く取って!!」
 御琴の必死の懇願もむなしく音鬼丸は手を出せない。
 御琴の暴れようと言ったらもう。
「御琴だから暴れるなって!!取れる物も取れないから」


 しかしそんなこともお構いなしに毛虫は首筋に近づいてくる。
 そして毛虫の足が御琴の首筋にふれたとき………

ドガーーーーーン

 なんと御琴が転身してしまった。

「きゃあああああ!!いやああああああ毛虫があ~!!肌に触れたぁぁぁぁぁ~!!」

 そういって御琴は回りを破壊しだした。
 その姿はまるで鬼神………って御琴の転身後は鬼神なんだから当たり前か(汗)
 いや例えを変えよう。
 そうバーゲンセールを前にしたおばちゃんよりも迫力がある。
「いやああああああああああああああ!!」
 勢いは止まるところを知らない。

「みっ御琴………はっいけない!!今は御琴を止めなくては!!!」
 普段とあまりにも違う御琴の豹変ぶりに兄、音鬼丸は一瞬我を失いかけたが、それでもなんとか意識を取り戻すと御琴を止めようとした。

「転身した御琴に対抗するには、転身しかない………はっ転身!!」

そして現れたのは、毘刹童子(びさつどうじ)。音鬼丸の転身後の姿だ。

「今毛虫取ってあげるからな」
 そういってシスコン丸出しの兄は御琴の方へ向かう。
 だが、

ドゴッ
「ぎぇぇぇぇぇぇぇぇ~」
 御琴の振り回している手が毘刹童子の顎へクリティカルヒット!!
 あえなく撃沈。

「………御琴」
 あくまで妹の事を第一に考え行動する音鬼丸。
 しかしさっきの一撃はすでに音鬼丸の体を動かす力を無くすほど強力だった。
 燃える乙女は剛し(意味違うし)

「毛虫毛虫毛虫毛虫毛虫毛虫毛虫………」
 なにやら御琴の言動が怪しくなってきた。
 う~む………ついにあまりの恐怖のため、気が触れたか………


 そのとき!!

「なんだこの騒ぎは!!」
 そこへ現れたのは我らが最強の天地丸様!!
「あれは……吉翔媛子!!御琴がなぜ転身しているんだ」
 そう言うと、御琴の近くに毘刹童子が倒れている。

「大丈夫か音鬼丸!!」
 音鬼丸のそばに行き、音鬼丸を抱きかかえる。
「………天地丸おじさん。御琴の首に毛虫が………」
 そういうと音鬼丸は御琴の首筋の毛虫を指さした。
 回りを見るとかなり破壊されている。
 この勢いでは、きっと異次元の里は壊滅してしまう。

「あれが原因か……よし御琴すぐ取ってやるゾ!!」
 こちらも叔父馬鹿全開で御琴に近づく。
 近づく途中で天地丸も転身する。
 そう最強のONI魔封童子の登場だ!!!(これが書きたかったんだい!!)

「御琴」
 そう言うな否や、素早く御琴の首筋から毛虫を捕る。

 だがそれに気が付かない御琴は尚も暴れる!!

「けむしケムシ毛虫けムしケむシ………」
 さっきよりも言動がおかしくなってきた御琴。
 これはいよいよヤバイか!?

「仕方がない」
 天地丸はそういうと、御琴を前から抱きしめた。

「落ち着くんだ御琴!!毛虫はもういない!!!」
 そういうと御琴の動きが止まった。
 まあ愛しの叔父様に抱きしめられたというのもあると思うが。
 そして二人同時に転身を解く。

「叔父様………ありがとう………怖かった!!!」
 そう言って御琴は天地丸の胸に顔を埋める。
 一方天地丸はそれを満足げに「ウンウン」と頷いている。

「さあ御琴、落ち着いたし家の中でお菓子でも食べよう。高野丸に作ってもらった特製のお菓子だぞ」
 そういうと御琴は
「はいvおじさまv」
 とても嬉しそうに、天地丸の右腕を自分の腕に絡め家に向かっていった。

「御琴ぉ~」
 完全に忘れ去られた音鬼丸は、面白くない顔&滝涙を流しながら、まだ自由が利かない体でどうすることも出来ず、結局気が付いてもらえるまでの三ツ時(6時間)ずっと庭で放置されていたとさ。



あとがき
う~む…どうしても御琴の暴走話を書きたかったので書いてみましたが、デキはいまいちですね。
もっと精進せねば。
まあ天地丸&御琴のラブラブっていうのも書きたかったのですがね。
僕の中では、音鬼丸はこういうキャラになってしまってます。
音鬼丸ファンの方御免なさい。
「花見って平和だなっ」と同じ日に仕上げました。
上記の方が短時間で出来たのに、作品としては上かなと思います。
まだまだ書いていきますんで、おつきあい下さい。

novc