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隠忍伝説(サイドストーリー)

花見って平和だな

novc 作

「私の団子返しなさいよ!!」
凄い勢いで沙紀が外道丸に詰め寄る
「あ~もう食っちまったもんはしょうがないだろ!!」
外道丸は開き直って沙紀に言い返していた。

――ふうやれやれ。全くこの二人はいつもこの調子だな~。
なんて俺が考えて、お茶でもすすって空を見上げていると、

「司狼丸!!あんたからも『こ・い・つ』なんか言ってやってよ!!!」
と、沙紀が外道丸を指さしながら俺に話を振ってきた。

――沙紀…人を指さしたらダメ。あ~あ。また巻き込まれるのか………はあ~。
なんてまた考えていると、

「おいっ沙紀!!卑怯だぞ!!!司狼丸を味方につけようなんて。それより司狼丸。おまえは俺の味方だよな?沙紀なんかにつかないよな?だったら言ってやってくれよ。腹にはいった物は返せねえって」

――外道丸。それガキの喧嘩だよ………そもそもなんでこんな事になっちゃったんだろ?

俺はこうなった理由を考えていた。


「ねえ、二人とも。今日は退魔仲介所の依頼もなかったし、それにお天気も良いし、お花見でもしない?」
今日の朝、いきなり沙紀が提案してきた。
ちょうど今は春だし、花も咲き始めている。
俺はたまに休むのも良いだろと思い、
「ああいいぜ。たまにはいいだろ」
そういうと外道丸が、
「なにが花だ」
と漏らした。
こちらは、花に興味がないらしい。
「えっでも、いいじゃないたまには。戦いばかりの日々だからしっかり休むときは休まなきゃ。それに今はお花がすっごく綺麗なときなのよ」
それから沙紀が外道丸を花見に気が向くように色々と話す。
「行きたくねえものは行きたくねえ!!だいたい男が花見なんかしてられるか」
やれやれしょうがないな外道丸は。意固地になってる。
「………花見だから、なにか食い物持っていかないとな」
と、ぼそっと俺が言ってやった。
「…やっぱり行くわ。花見もたまにはいいなあ~」

――白々しいゾ。外道丸。まあこいつは食い物に弱いからな。まあなんしても話はまとまったな。

「じゃあ、お昼はさっき食べたから、団子でも買っておやつで食べながらお花見しましょ!!」
沙紀が嬉しそうに言った。


それから俺達は近くのお菓子屋で花見団子を買って、この場所に来たんだよな。ちょうど弥生(3月)だし桜も咲いている。なかなか景色のいい場所だ。人も少ないいわゆる穴場と言う奴だろう。沙紀が
「いい場所があるんだ♪」
とウキウキしながら誘っていたのも頷ける。

最初は俺と沙紀は腰を降ろして、花を眺めていたんだよな。
……外道丸は早速団子を食い始めたけど(汗)

ちなみに最初に団子は3人分、分けておいたんだ。
すぐ外道丸が全部食うから。

「綺麗ねぇ~」
沙紀がうっとりとした顔で桜を眺めている。
「ああ……なかなかなものだよな~」
俺も正直、桜をこんなにじっくりと見たことがなかったから、こんな美しい物だとは思わなかった。

――次は神無と二人で見てみたいな。
なんて考えていると、

「あっ今、神無ちゃんの事考えてたでしょ?」
沙紀が悪戯っ子のような笑みを浮かべ俺の顔をのぞき込んでいた。
「ちっちがうっ断じてそんなことは考えていない。そう考えていない…」
そう言いつつも、俺の顔が赤くなるのが分かった。
相変わらず沙紀は鋭い。
う~ん女の感ってやつなのか?

「うふふふ。司狼丸ってやっぱり嘘付けないね。顔に書いてあるもの」
俺に言う顔は悪戯っ子と言うよりも小悪魔だ。
「うう」
俺はなにも言い返せなくなってしまった。
「さっお団子でも食べよ」
そういって沙紀は外道丸が座っている方へ振り向いた。
そのとき、
「ああああああああああああああああああ!!!!!」

沙紀が叫んだ。
見れば外道丸が沙紀の団子まで食ってしまっているところだ。
あと二つ、一つ。あ~あ無くなっちゃった。
幸い俺のはまだ手をつけていないようだが。
沙紀がもの凄い勢いで外道丸に詰め寄った。

「ちょっと外道丸!!あんた、なに人の分のお団子まで食べてんのよ!!!」
う~沙紀の奴、相当頭にきているな。
「いつまでも花なんか見てるからだ!!」

――外道丸それ理由になってない。
俺は内心ツッコミを入れる。

「私の団子返しなさいよ!!」
とまあ、こんな風にして喧嘩が始まったんだよな………。



「ちょっと司狼丸!!黙ってないで何とか言ったらどうなの!!!」
「そうだ司狼丸!!何とか言え!!!」

―――うっひょっとして俺が攻撃目標?

「ああ!!五月蠅い外道丸!!!
あっ沙紀が手をワナワナさせている。

「五月蠅いのはそっちだ!!団子ぐらいでグズグズ言うな!!!」
う~ん外道丸…完全に開き直ってるな。おまえが原因なのに。

「あったまきた!!」
そういって沙紀が今にも外道丸に飛びつきそうだ。

―――ふうやれやれ………

「沙紀、ほら俺の団子やるから」
俺がそう言って、団子を沙紀に差し出す。そしてとりあえず一本だけ口元に持っていった。

パクッ

沙紀がそのまま食べた。
言うなれば、俺が沙紀に団子を食べさせている状況だ。

「………モグモグ。おいしい!!ところでいいの司狼丸?あんたの分無くなっちゃうよ」

―――そういう台詞は団子を食う前に言ってもらいたかったんだけど
内心そう思いつつ、これ以上ややこしいことにしたくないのでこう続けた。
「別に俺、腹減ってないから。沙紀が全部食べると良いさ」

「ほんとに!!やった~。ありがとう司狼丸」
本当に嬉しそうなあ。

「おい!!沙紀それ司狼丸のぶんだろ!!なにおまえが食ってんだよ。それになに食べさしてもらってんだよ。なんだったら俺が………
なにやら面白くない顔をしながら外道丸が叫ぶ。最後の方は良く聞こえなかったけど

「いいじゃない。司狼丸がくれるっていうんだから。それに元の原因は外道丸じゃない。私のお団子食べちゃって。あ~あどこかの誰かさんと違って司狼丸は優しいなあ~」
と思いっきり皮肉を言っている沙紀。

「………うぐぐ………へっそんなにバカバカ食ってたらまた太るぞ!!俺は知ってんだ。おまえが最近太った事を気にしてること。なぜなら俺が風呂を覗いているから間違いない。腰の肉が気になってるだろ!!」
外道丸が一気にまくし立てている。………おいおい。おまえ風呂覗いているのか。それにいくらなんでも言い過ぎだ。それに沙紀が

ブチッ

なんかすっごい音がしたな。
あっ………沙紀の背中から炎が見える………
それも生半可な炎じゃない。
言うなれば地獄の業火………

「げ・ど・う・ま・る♪。あ・ん・た・『ふ・と・る』で・す・って?。それに何であんたがそんなこと知ってるのよ!!そりゃ確かに腰の肉が気になり始めているわよ!!帯が締めにくいわよ!!だから節食(ダイエット)してるわよ!!あまつさえ『風呂を覗いてる』ですって!!!あんた乙女をなんて考えてるのよ!!!まだ誰にも見せたことのない裸を………殺す
そういって沙紀が外道丸に飛びかかる。

「おっおい!!悪かった!!俺がわっ」
言葉を最後まで言うこともできなく沙紀にボコボコにされる外道丸。
「うっうわ……げふ……ぎぇぇぇぇぇ~」
「まだまだこれくらいじゃ許さないんだから!!!」

俺は一連の流れを見届けると、持ってきたヒョウタンの水筒から湯飲みにお茶を入れ腰掛けた。

「ふう良い天気『司狼丸助け』『この女の敵!!』だ。なんか平和だな~。今日も空が蒼いや」
と見上げた空は本当に澄んだ蒼色だった。


追記
この後、外道丸はボコボコにさせられた後、3日間沙紀から口を利いてもらえなかったという。

あとがき
久々にギャグと言うものを書いてみました。
やっぱりこっちの方が性に合ってるかもしれません。
たまにキャラを暴走させたくなります。
いえ最近シリアス系しか書いていなかったので。
反動でしょうね(笑)
個人的にはこのお話気に入っています。
それに春にちなんだお話がかけたので、まあ満足です。
こういう話もこれから書いてバンバンUPしていきたいですね。

novc



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